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夕刻コラム「ダウンタウンプラス」
外野はすべるとか滑らないとか言っているけど。
ひろゆきなんてのは、これはまた「どんどん登録者が減っていきつらい状況が起きる」と数字で判明する予想している。
確かにお金がかかる以上、減っていくような気はする。
しかしこれは実験的なところが多い。はじめてやってみるところがある。
これはどうなろうと成功になると思う。
セクシー・ユー
田中屋のシティスナップ「渋谷井の頭通りの女」

撮影/田中宏明
連続小説「女も三年目から」第2話 作/奈良あひる

夜の空気は、昼よりも静かで正直だ。
真紀は、テーブルの上に置かれたグラスの水を見つめていた。
氷が溶けて、輪のような影を残している。
浩一は、向かいの椅子に座ったまま、まだ口を開けないでいた。
テレビは消してある。冷蔵庫の低い唸りだけが部屋を満たしている。
「考えてたの」
真紀が言った。
声は静かで、怒りも涙もなかった。ただ、少し冷たい。
「私ね、あなたを責めたいわけじゃないの。
でも、このまま“なかったこと”にして暮らすのは無理」
浩一が小さく頷いた。
それは謝罪のしるしなのか、逃げの合図なのか、彼女にはわからなかった。
「だから、選んでほしいの」
その言葉に、彼の視線が上がる。
真紀は続けた。
「別れるか……
それとも、私が他の男と出会って――それをあなたが見るか」
部屋の空気が一瞬止まったようだった。
浩一の顔から血の気が引いていくのが、ゆっくりと見えた。
「なに、言ってるんだよ」
「どっちが本気で“痛い”かわからせたいの。
あなたが私の前で他の人とそうしたように、
私もあなたの前で、別の誰かと時間を過ごす。
それを見ても、まだ“出来心”って言えるのかどうか」
真紀の声は淡々としていた。
怒鳴るでも泣くでもなく、まるで他人の人生を語るようだった。
「そんなこと……できるわけないだろ」
「できない? あなたは、したじゃない」
浩一は顔を伏せ、拳を握った。
その拳の中で、指が白くなるほど力が入っていた。
男が何かを失う瞬間というのは、言葉より先に体が教えてくれる。
真紀は立ち上がり、窓の外を見た。
夜の街は、思ったより明るかった。
遠くで救急車のサイレンが細く伸びて、また途切れる。
「答えはすぐじゃなくていい。
でも、どっちかにしないと、私たちはもう“ふたり”じゃない」
浩一は何も言えなかった。
その沈黙の奥に、かすかな後悔と、まだ消えない愛情の影が見えた。
真紀はその気配を感じながら、ゆっくりと背を向けた。
ドアの取っ手に手をかけ、振り返らずに言った。
「ねえ浩一。浮気って、裏切りよりも浅いと思ってた。
でも違うのね。浅いのは、信じるほうだったのかもしれない」
扉の向こうで、彼女の足音が遠ざかっていく。
その音が消えたあと、浩一は初めて、自分の鼓動の速さに気づいた。
つづく
作者紹介
田中宏明 1980年生まれ 東京都昭島市出身の写真家・放送作家。
2003年 日本大学文理学部応用数学科 ぎりぎり卒業。下北沢・吉祥寺での売れないバンドマン生活&放送作家として日テレ・フジテレビ・テレビ朝日を出入りする。現在はピンでラジオと弾き語りでのパフォーマンスをおこなっている。
◆写真家:シティスナップとかるーい読物「井の頭Pastoral」撮影・編集
◆放送作家:ラジオドラマ「湘南サラリーマン女子」原作・脚本 オールデイズ直江津Radioで放送中!
出演ラジオ 第99回
田中屋のシティスナップ