歩き書き!「田中屋の不動産管理日誌」第14話~営業補償(つづき)

不動産管理あるある
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前回のあらすじ

天災などで、ビルの設備に影響が出たとき、
テナントは賃貸人に営業補償を請求することはできるのか。

賃貸人は修繕する

前回、お話ししましたように、自然災害が起きたのはビル賃貸人にせいではありません。契約書にも自然災害等によるビルの不具合は賃貸人免責である旨記されています。
ただ、それは賃貸人が修繕しないという意味ではありません。修繕します。その修理が完了するまでの間の不具合について、テナントは賃貸人に営業補償を請求できないという意味です。
もし、故意に修繕の段取りを遅くしていたならば、また話は変わってくる可能性はあります。

管理会社として

管理会社としては修繕の手配をします。
そして、修繕工事へと入ります。
ここでテナントが
「工事に入られると、営業できないので、営業補償くれ」

心の中では、「この人クレーマーだなぁ」と思っても、顔に出してはいけません。こっち急いで動いていても、お店をやってる商売人としては、なんでも言わないと損という考え方をもって、なんとか優位になりたいと思うものです。

管理会社としては、「今は復旧させることを優先させてください」という立場をとります。

テナントが営業補償を主張

管理会社が修繕に動いているなか、営業補償のことばかり主張してくる場合、
「実際営業補償の話となると、管理会社は交渉にはたてない旨」伝える必要がでてきます。
とにかく、修繕がスムーズにいくことを考えます。

工事は無事終わったとして、はやりテナントは営業補償を主張してきた場合。管理会社ではお受けできない旨伝えます。

テナントがしつこく主張し、オーナーに伝えたとしても、賃貸人に「丁重にお断りしてください」となるだけなのです。
そして、管理会社としても、「こちらでできることはなかなかなくて、もし本当に主張されるようでしたら訴えるしかないです」戦いましょう!とお伝えするしかないのです。テナントさんの立場として。
そして、管理会社という経験上、テナントへ、なかなか難しい戦いになることだけはお伝えしましょう。

なぜなら、契約書通りであり、その次は民法の話になってくるので、テナントに言われて、「はいそうですね」とはなかなかならないのです。

民法とは第606条です。

改正民法606条(賃貸人による修繕等) とは


1.賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。
2.賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない。

テナントは、営業補償を主張する場合、これの2項を突破しなければなりません。

つづく

文・写真/田中Mint

渋谷 明治通り 原宿
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