青春プチロマン小説「優依華のみやげ話」
作/奈良あひる

短篇小説
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短篇小説

脚本×エッセイ

○地下鉄の階段、たくさんの人


ト書き:達哉、地下鉄の階段を昇る。人が行き交う新宿。
出口でたたずむ。
達哉「ここも新宿三丁目駅になるのかぁ」

登場人物


達哉 :好きな電気屋はビックカメラ、37歳
優依華(ゆいか):自転車はカマキリハンドルだった、37歳

新年はじめて会った人

年始に中学時代の同級生の優依華にひさしぶりに会った。

4月からは旦那の仕事の関係で海外へ移住する予定で、年末は新婚時代に住んでいた福岡の友達のところへいっていたのだという。

10年もたてば結婚している人もいれば、離婚している人もいる。優依華が驚いたのは、地方は皆そうなのか、不倫・浮気が日常的に行われていることであった。未婚のおんなでも、既婚の男と体の関係をもっていることも"付き合っている"と呼ぶらしい。それは自分のしっているそのことばとはちょっとちがう。地方だからか。

旦那が若い女と付き合っているとこを平気で話すママ友もいるという。言うまでもないが、そのママ友もそれらしき男がいる。

新宿の喫茶西武で聞いた話である。

みやげ話

それらが、福岡に行ったことによるみやげ話だと言う。
そして優依華は、
「きっと、結婚・家買う・子供生まれる、というステップを30歳のうちやらないと引け目を感じるプレッシャーのせいね」と分析し始めた。

達 哉「みんなうまくやってるんだね」
優依華「そうね」
達 哉「今日は時間あるの?」
優依華「うん」

ふたりは大久保方面へ歩いた。
「ちょっと、ここ入ってみようか」
もちろんラブホテルである。
優依華ももちろんOKである。

=恋とか愛の中略=


中学の時したかったことを存分に味わった。

達哉はベッドの上で優依華を撫でまわしている。

達哉「さっきの福岡の話、問題はそのどちらかがうまくいかなくなったときだなぁ」

優依華に何があったかは知らないが、人生のステップを何ひとつ進んでいない達哉にはわからない世界かもしれない。なので達哉からは聞かない。

達哉が手にした、大きなみやげである。

おしまい

写真/田中宏明

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