田中屋の夕刻日誌「そろそろ引退してほしいビジネスマナー」文/田中宏明

夕刻日誌
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得意先などに訪問した際、コートを脱ぐあの文化


あれなんとかならないものかねぇ。

雨が降ろうと、雪が降ろうと、ドアの前で上着を脱いで、抱えて、先方が出てくるのを待つのである。

上着を着ていたら、なんの支障があるというのか。おそらく支障ではなく、マナーだということなのでしょう。礼儀というか。
なにがマナーだ!

ただ、この文化の廃止は非常に勇気がいることである。
例え会社の社長が、得意先に出向くとき、コートを脱がなくてもいいと指示したとしても、その担当が、それによってやりにくくなるのは面倒なことで、無難という意味では、まぁそのときぐらい脱ぐかという結論になりやすいのだ。

年代的に、その文化を遠巻きで観察している世代がいて、
あの会社は、訪問してきてコートを脱がなかったことに対して、首根っこ押さえたぐらいのガッツポーズを決める人もいるのだ。
この人種をビジネスマナーマニアという。

効率は度外視なのだ。根性論。

営業で訪問してきた人が、コートを抱えたまま入っていて、それにより、資料が出しにくく、ごそごそやってる姿は、せつなく思う。僕はコートぬがなくていい派なので、コート脱ぐからリズムが悪くなるんだよって思います。

僕は、どうするかというと、コートなんて着ていかないのです。

長袖肌着を着て、ワイシャツ・セーター・背広で乗りきります。

年始の挨拶など、複数人でいく場合でも、自分だけコート着ていなくて明らかに寒そうでもそうします。
いちいち脱ぐぐらいなら、着ていきません。

先日、同じように、少し付き合いのある業者が二人で来ました。
あいさつと資料を置いていくだけなのですが、ひとりは、コートを持ってきていませんでした。
おそらく自分と同じ考え方なのだと思います。
もしそうだったら、わかり会えるかもしれません。

もしお得意様が北極へ引っ越したらどうするのでしょうか。それもやはり門の前で背広になり、出てくるのを待つのでしょうか。
ビジネスマナーマニアの方ならどうしますか?
きっと脱ぐのでしょう。僕はそれを信じています。
もっとビジネスマナーマニアでしたら、アラスカのオーロラを観ているときに、お得意様と偶然会ったら、その場で上着を脱ぐのでしょうか。
そうしてくれることを願っています。
期待を裏切らないでほしいものです。

この文化いつまで続くのでしょうか。

近年、虚礼廃止という言葉を知りました。年賀状・お歳暮等は出しませんということである。
出さなくてもいいけど、虚礼っていっちゃうなよ、みたいな。

これもビジネスマナーマニアのしがらみがありそうです。

「虚礼ではなかったけど、やめます」と言えばいいんじゃないか。

玄関前でコートを脱ぐことは、虚礼かもしれませんね。別に脱ぐことが礼ではないとしたら。

それを廃止。
嘘だった礼を廃止するとしたら。

誰かカリスマ性がある人が、これについて、改正してくれないとこの古き悪しき慣習は終わらないのであろう。

コートを脱ぐ文化は虚礼ですね。

もしコートがないと動けないぐらい寒い日が来たら、コートの上に背広を来ます。

田中宏明

銀座
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