夕刻日誌「if 腕時計は右か左か」
文:田中宏明

夕刻日誌
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久しぶりに腕時計を買った。
腕時計をしていたのはADの頃だったので、約16年ぶりに腕時計をすることになる。あの頃防水でもないのに風呂に入るときでもいつでもつけっぱなしだったのだが、元気に動いていた。ADから放送作家へ転向した段階で壊れてどこかへいってしまった。当時吉祥寺のマルイで買った。役目を終えたのか。

今回腕時計をしようと思ったのは時計は便利だからとか、ファッションとか、社会人としてとかでもない。時計はエンターテイメントなのである。極端な話、動いていなくてもいい。

最近知ったいくつかの情報により腕時計をすることにした。

情報0:利き腕と反対につける。

作業をしながら時間を見ることもできて、邪魔になりにくいから。これはおそらく多数派。

情報1:西村修(プロレスラー)は右につける。

憧れの石原裕次郎含む石原軍団数人が右だから。石原軍団がなぜ右なのかはリサーチ中。

情報2:スナイパーは左につける。

左腕に通信機などをつけていて、その指示や時間により行動するから。右につけていたらやりづらい。
この考え方の延長で、平和主義だとか、指令で動くのではなく自分で動く、みたいな意味もあるらしい。

情報3:ビートたけしは左。

たけし軍団もひだり。ちなみに、さんま・タモリも左。

情報4:篠原ともえは右。

両腕にアクセサリーをつけまくっていた90年代。時が経ち、だんだんアクセサリーが減っていったら、右に腕時計をしていた。

情報5:日本において、どこかのアンケートによると、右につける割合は男より女性の方が多いらしい、なぜかはわからないが。

これは海外でもその流れはあって、右につけている男は、女心を持っているというアピールでもあるらしい。

多数派が左の中、なぜ右なのかという、本人へのインタビューみたいなものは聞いたことはないが、ああだこうだと推測するのはたなしいものであった。

そこで僕はとりあえず右につけようと思ったのだ。西村修の影響で。
右か左かでそれなりに話題が出てくるのだ。それに参加したかったのだ。

ただ、はじめから、右につけたらちょっと男のミーハー感に触れてしまので、とりあえず左にしよう。

買った腕時計は、アルバのスプーンである。高校1年の頃、やや流行っていて、クラスの女子の何人かがしていた。長野冬季五輪モデルってのがあったので、それにした。
そういえば、当時クラスで視聴覚室みたいなところでラージヒルを観た思い出がある。一番振りな番手を原田が買って出て、グループを優勝に導いたのだ。「みんなの力なんだ」と。
この言葉を聖望の学校バッグに書いたのだ。修正ペンで。

いざ左につけてみると、問題点を実感する。
バッグの中のものをとるときなど、バッグの持ち手を左手に通すとき、時計がぶつかって持ち手の輪を通りづらいのである。
さらに!
スプーンの特徴で、時計の右上のボタンが押されていまうのである。
そのボタンがなぜか初期化ボタン。せっかく合わせた時間が、1997年1月1日に戻ってしまうのである。高校1年に戻ってみたいと思うこともあるけど。
しかしなんでそんな配置なのだ!もっと初期化にはひと手間かけろ!
はじめは、どのタイミングで初期化されているのかわからあかった。

そして、もう左にはつけねーよ、となって、右につけることにしたのです。

情報6:田中は右につける派。

スプーンのボタンの配置の関係で、左につけると初期化してしまうから。

これらの情報をもとに、どちらにつけますか?

通りがかりのサラリーマンに「今何時ですか?」と聞いたあの頃が懐かしいですね。
一度聞かれてみたいものです。
でも、そのとき、時計が動いていなかったら、または初期化されていてはカッコつかないので、冒頭の極端な話動いていなくてもいいというのは撤回します。動いていてほしいです。

「もうすぐ5時だ、よい子はおうちにおかえり」と嘘をつきたくないので。

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