青春プチロマン小説「恋の省略」

短篇小説
短篇小説

作/奈良あひる

柱:電車に揺られる。窓の外は夕暮れ

僕は今日も仕事にならない時間を過ごしている。
何かおもしろいネタが降ってくるわけでもなく、寝るにも寝れない疲れ具合。

ネタ作りの為といえば、なんでも肯定化されて気が楽になるという性格が身に付いてきたこの頃だった。

ネタ作りにスナックでも寄ってみようか。ネタになるかわからないけど。


柱:フロアレディ募集なんて手書きで貼ってあるお店

ト書:ドアを開ける


中には女性がひとり、おそらくママがいて、コーヒーを一杯頼んだ。
3000円で飲み放題、カラオケ可なんていう地方価格だ。

ママはコーヒーを2杯持ってきて、カウンターの隣に座った。

最近のこと、マイブームなど、話して。
2階は貸室になっていて、今は空室らしい。店を空けて部屋を案内してくれた。
僕が昔すんでいたような部屋だった。

店は暇だと言う。なんかおもしろいことでもなかしらねと笑う。

店に戻ると、女がいた。
マ マ 「美世子ちゃんおはよう」
美世子「おはようございます」

先程コーヒーが出てくる前、店内をうろうろして、雑誌やCDの並んだ棚を眺めた。
何となく趣味や時代が見えてくるものだ。
この感性はママなのか、この美世子という女の子なのか。

年代としては、ママのような気がするけど。

マ マ「それじゃぁ、あとは美世子ちゃんよろしくね 」
美世子「はーい」

ママはそういって出ていってしまった。

ふたりの店内

話したことといえば、世間話。cafeで若い女子が話しているぐらいの内容。会社がどうだとか、上司がどうだとか、朝から下ネタが降ってくるとか。彼氏は40歳だという。美世子は25歳グライに見える。
最近入ってきた下の代の教育係はストレスだとか。

スナックでホステスをやってるのは、ストレス解消の為という。
スナックでストレスはたまらないのかと聞くと「そういう約束で入った」と言う。
ママはそういう人がスナックには向くと笑っていたという。

僕「このCDはママの趣味ですか?」
美世子「これは全部私の趣味ですよ」

音楽というのは、時代背景が写っている。
同じ曲でも、リアルタイムで聞いた人と、あとから聞いた人では、その空気感は違うものだ。

美世子「何かかけましょうか」

と、CDプレイヤーをまわした。

ト書き:ビクターのスピーカーから音楽が流れる

それは、アルコールよりコーヒーが似合うようなものであった。

ふわっとした美世子のにおいは、コーヒーとミルクが交ざるように音楽と交じりあっていって。ふたりの距離がそうさせたのか。

スナックとは女のやさしさと怖さをしるところ。

この満たされた気持ちは、音楽かコーヒーか。

柱:スナックの扉の前

スナックの扉を閉めると、外まで見送りにきた美世子がささやく

美世子「すこしはネタになったかしら」
僕「ええ、とても」

いつもの道にもどれば一瞬でいつもだ。

ただ出来事だけがこころに残っている。
そんなこともあるのだ。

おしまい

※本編では、性的場面はカットされています。

10代のうちに読みたい官能小説

はじめまして、田中宏明(写真家)です。
ZINEの制作とCOFFEEの移動販売(バイク屋台・自転車屋台)等やっています。

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写真は、井の頭Pastoralという自作の ZINEに掲載しています。

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