=プチロマン小説=ありそうでなくて、それでも起きそうなロマンスをお届けする青春プチロマン小説。きっとどこかで起きている。
第34話
加恵は街を彷徨い歩いた。
何も起きなかった。男には出会わなかった。さっきの男(陽太)にも再び出逢うなんてことは起きなかった。
ここのところの私ならもう一度偶然風に再開して、これは縁ですねなんてことになって、ホテルにいったりできたような気もするのに。
彼の勇気を踏みにじったとも取れる行動だったのだ。
男が勇気を見せたなら女はロマンスで返す
そんな歌が小さい頃流れていたような気がする。
ずるいだけでは生きられない。
加恵の知り合いにだって、そりゃあ学生時代から持ててしまって、常に選ぶ位置にいる女がいた。すべてが上手くいって人生そのまま勝ち逃げるのかって思ってた。
まぁそうもいかないってことを見せてくれたのも彼女だ。
子どもはいらないと言っていた。結婚もしていない。そうなってしまうと、人生の充実感を得る簡単な方法は旅行に行くことと、ひたすら男と遊ぶということしかない。
ひたすら男と遊んでいる。
本気で恋して言い寄ってくる人なんて相手にしないで、いわゆるスペック重視だ。
そんな彼女の◯◯の社長がさぁなんて言葉はもう聞き飽きた。
ああ、男の勇気を踏みにじっては駄目だ。
そんなとき、加恵の前に見たものは…
つづく
作者紹介
奈良あひる 渋谷のOL女に必要なのは断らない勇気。 それからというもの恋のめぐり合わせが始まったまりました。経験をもとにロマンスをお届けします。 井の頭Pastoralにも寄稿してます。