読み切り「雨宿りの夏」作/奈良あひる

短篇小説
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短篇小説

こんな街では、雨宿りと言えばラブホしかない。

いかにも雨が振りそうな日に、バイクに二人乗りで出かけた。

雨が振りそうでも出かけたのは、バイク乗りの男がこの日をたのしみにしていたからだ。

雨が降っていない時点で中止は言いづらかった。

雨が降った。

夏だったからか、雨具はとくに用意していなかった。

雨に濡れたってそれほど寒くはない。

いやしかし、バイクで走るにはそういうわけにもいかない。

そんなわけで雨宿りをすることになった。

「雨宿りをする」という言葉を強調してラブホに入ったが、普通にしてしまった。

年下の男と。職場の。

雨が上がれば、ホテルを出て、またしばらく、バイクに乗る。

今裸で触れ合っている体に半分濡れたシャツを挟んで。

文/奈良あひる

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