田中屋スポーツ新聞10/16(木)「」編集者/田中宏明

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=田中屋スポーツ新聞=新聞を読めと言われた世代!?読むならスポーツ新聞だな。情熱といかがわしさのサンドウィッチ。ジャンクな話題をコーヒーで流し込め!学校でも職場でも使える話題をお届け

夕刻コラム「子連れ客にクレームを言うベタな構成の記事」

この記事はどこが新しいのか。どこがおもしろいのか。どこがオリジナルなのか。

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記事は書くこと。新しくなくてもいいし、面白くなくてもいいし、オリジナル性もなくてもいい。自由だ。

こういう記事によくある疑問

〇この記事の筆者は、この夫婦に聞いた話だけで書いているのか。

〇なぜ、堪忍袋の緒が切れてから動き出すのか。普通に相談できないものか。店側もそれまで動かないという、後手後手。店側は子どももありと考えていたのか。

〇自称元警察という胡散臭いやつが現れて、それにみんなで寄せるという腑抜け具合、それでいいのか、その店にいたみんな!w

〇スピーカーで話すのはなぜだめなのか。通常の話し声よりはるかに大きな音だったのか。

〇傍観者夫婦は子なし。筆者はどうなのだろうか。
 

この記事の最後、この傍観者は鷹揚(おうよう)だと。結局何がいいたかったのか。
そのぐらいのことは傍観者でいろということかな。

そんなことこと考えてたらこの記事ちょっとおもしろい。

田中屋のシティスナップ「八王子の女」

撮影/田中宏明

連続小説「女の風景写真」第49話

その街は、駅を降りた瞬間から空気が違っていた。
 潮の匂いと、遠くの踏切の音。
 風が少しやわらかく、どこかで焼けたパンの香りが混じっていた。

 由紀子は、ワンルームの鍵を受け取ると、玄関のドアを開けた。
 家具もない、白い部屋。
 空っぽなのに、なぜか息がしやすい。
 窓の向こうには小さな港町の景色が広がっていた。

 スーツケースを床に置き、鞄の中からノートパソコンを取り出す。
 電源を入れると、いつもの文書ファイルが開いた。
 タイトルは――「記録」。
 そこには、夫も、あの人も、もう登場しない。
 今、画面の中央にあるのは、ただひとりの“由紀子”という女の時間だけ。

 指を動かしながら、彼女は静かに思った。
 自分は書くことで、ようやく息をしているのかもしれない。
 あの夜も、あの家も、あの人の声も、すべてがひとつの章になって、今ここに続いている。

 書きながら涙がにじむ。
 それが悲しみなのか安堵なのか、自分でもわからない。
 けれど、涙が落ちたキーボードの上で、光の粒のように一文字ずつが浮かび上がっていった。

 ふと、窓の外を見る。
 港に小さな灯りがともっている。
 釣り人たちの影が、波に揺れている。
 その光景に、不思議と心が静まった。

 ――これから先、自分は誰の妻でもなく、誰の恋人でもなく、生きていく。
 そう思うと、胸の奥に小さな風が通り抜けた。

 コーヒーを淹れ、椅子に腰を下ろす。
 ノートの中で、新しい一行を打ち込んだ。

 > 「港町で目を覚ました朝、私はまだ少し、愛の残り香をまとっていた。」

 画面を見つめ、由紀子は微笑んだ。
 そこには、どんな痛みも、どんな秘密も、もう静かに沈んでいる。
 ただ、書くことで生きるという確かな手触りだけが、彼女の指先に残っていた。

つづく

 

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