事業用賃貸に関するビル管理上の疑問、トラブル対策、クレーム対応、ニュートラルな立ち位置でご紹介。
消防点検より影の薄い防火対象物点検
消防点検は、消防署に目をつけられ、再三の改修忠告を無視すると、消防庁のホームページに消防設備が未完全であることがオープンされてしまいます。
なんて嫌がらせだ!
それに比べて、防火対象物点検は、指摘もなかなかこなければ、未完全でもおしおきがないのです。ほぼね。
それでも法は法らしいのですので、雰囲気知っておきましょう。
防火対象物点検と消防設備点検
消防点検は、貸室内及び共用部の消防設備が必要な分設置されているかというものです。
防火対象物点検は、主に防火管理者の選任がされているか、消防計画は提出されているか、消防訓練が予定されているか、が主な検査項目です。
それでは、防火管理者選任義務と防火対象物点検義務の基準を確認しておきましょう。
まず、
言葉
飲食店・店舗など不特定多数の人が出入りする用途(特定用途)がある防火対象物を「特定用途(の)防火対象物」という。
防火管理者選任義務の範囲
○その建物(特定用途防火対象物)の全体の収容人数が30人以上の場合
つまり、30人以下であれば、防火管理者選任義務はない。
防火対象物点検実施義務
前提:防火管理者選任義務のある特定防火対象物であること
下記のどちらかに該当する場合、点検義務有り
〇収容人数が300人以上
〇地階又は3階以上の階に特定用途があり、階段が屋内1系統のみ
そもそも防火管理者選任義務がなければ、点検もいらない。
屋外階段が一つあれば点検義務なし
ここでのポイントは、収容人数によって義務かどうかが変わるところです。
実務でいうと、義務がない状態から、ある時収容人数の多いテナントが入ってくることによって、義務が発生したりします。
入居時義務はなかったのですが、他のテナントの影響により義務が発生することを見込んで、義務が発生したら、それに従ってくださいという説明があるといいですね。
テナントは全員クレーマーですので、先に言っておくと違います。
防火管理者選任義務がないところからはじまると、あるとき専任しなければいけなくなりますので、そのテナントは講習に出て(有料)資格を取り、防火管理者選任手続き及び消防計画作成などしなければならなくなるのです。
手間はともかくお金がかかるところがポイントです。
ちなみに、このどちらとも貸室内の義務はテナントです。共用部はビル所有者になります。
貸室内はテナント義務ですので、やりたくなければ泳がせておいてもいいです。消防署はこれについては、テナントに直接指摘することになります。
ときに、ビル全体の防火管理者に行くこともありますがそれは無視しましょう。各テナントに連絡してくださいと。
こちらとしても、消防署の要望で動くには費用をいただかなくてはなりません。
まぁ、防火対象物はビルへのちゃちゃがあまりないので、泳がせておくこともひとつの手です。
ただ、知っておきましょう。
著者紹介
田中宏明 1980年生まれ 東京都昭島市出身の週末の写真家・放送作家
2023年 日本大学文理学部応用数学科卒業
2007年夏より 週末は自由に生きたい会社員(不動産業)となる。宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士。
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