歩き書き!「田中屋の不動産管理日誌(エッセイ)」第7話「店舗で貸す」つづき

不動産管理あるある
不動産管理あるある

事務所で貸していた区画を店舗で貸す

=2階以上の場合=

気を付けないといけないのが、避難器具です。

そもそも、ビルは基本2方向以上の避難経路が必要という考え方があります。
その中で、事務所のビルであり、規定のサイズ以下の大きさであれば、免除としての、1方向で可というイメージです。

その視点でビルを見ていくと、1階だけ飲食店舗でその他すべて事務所、避難経路は1方向なんていうビルも見受けられるのではにでしょうか。わりと古く小さめのビルにみられます。
(このビルを田中屋ビル2としましょう)

1階は、避難階というものにあたり、飲食店であっても2方向避難経路の義務がないからです。

9人以下で使えば飲食店でも避難器具設置義務なし

田中屋ビル2の2階をこれからは飲食店で貸そうと思った場合、必要になるのが、避難器具です。しかし、設置義務となる基準に、収容人数10人以上で使う場合と条件があります。つまり、9人以下で使えば設置義務はないということです。
この時点では、飲食店で貸すということ自体に設備が足りないというわけではありませんが、このまま募集して契約して、「さぁ、営業開始だ」といったときに、消防設備が足りないことが発覚することがあります。

そのとき誰が誰の費用負担だなんて言い争いが起きたりします。

今ビルが避難器具設置できる環境にあるのか

さらに、どちらが負担するかはおいておいても、ビルの構造上設置ができないなんてこともあります。
そしたらそれは誰の責任なんだとなります。

そうならないための、この事を知っておくことと、対策を打っておきましょう。

設置に向けて

私の経験では、貸し主負担で設置しようということになりましたが、設置する場所であるビルの裏側が、1・2階の室外気が、1階の排煙ダクトなどがいりくんでおり、どうにも設置できる状況ではありませんでした。

それまでは、ビルのオーナーが自主管理という感じで、のちのことを気にせず、テナントに自由に設置させてきた流れがありました。

現在は、管理会社をいれているので、このあたりのことに今気づくという瞬間でありました。

ここは一度室外機など整理しようということで、二階のバルコニーや壁面に設置されていた室外機等、オーナー負担で屋上に移動させるところからスタートしました。
そして、2階には避難はしごをようやく設置することができ、晴れて、9人以下での使用という縛りは解除となりました。

これは、お金もあるオーナーだからこそできることであります。

もし、そんな費用ない、または出したくないというオーナーだったらどうしようかとも考えておく必要があります。

募集する前の段階で、避難器具がないということは、なんの不備でもありません。なぜなら、事務所で貸したり、9人以下で使用すればよいからです。もちろん、消防設備点検で指摘されることもありません。

地下の時と同じように、募集時にサービス店舗で使うことに限定するという手があります。

つづく

文・写真/田中Mint

原宿キャットストリート周辺
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