夕刻日誌「マナーの向こう側」
文:田中宏明

夕刻日誌
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夕刻日誌

曖昧な記憶だが、ブルーハーツの歌詞で、ルールは破るがマナーは守る、みたいなのがあったような気がする。
僕は両方守りたい性格ですが、どちらかをやぶるとしたらマナーであります。

マナーは時にマナー原理主義者みたいなのが、古き悪しき風習をいかにも常識的に正しいものとしてそう呼んでいることがあるのでご用心である。

先日のこと
エレベーター前にて

待っている人(A)がひとりいて、僕(B)は2番目だった。
エレベーターが来て、前の人が乗り込み、操作盤の前に立ち、僕は奥に入った。
目的階に着いた。この時である。

先に乗った人が「開」のボタンを押して僕が降りるのを待っているのである。僕は「どうも」と会釈をして先に出ていく。
それでも、僕は後に乗った者なので、先に入り「開」を押していた人が先に行くのを待って、その後を歩きたくなるのです。
先にエレベーターに着いた人が先を歩く権利があり、そうあるべきだと思うのであります。しかしAは心が広いか急いでいないかで、Bを先に行かせたのです。もしくは、実際は先に行きたかったが、先にエレベーターに入ったら、開を押して、他の人が入るのを待って、出るときも開を押して、みんなが出てから自分が出るのがマナーという名の宿命であり、それに縛られていたのかもしれません。

なので、僕はやはり、Aが出て先を歩くのを待って、その後をいきたくなるのです。待つといっても、偶然を装って待つのです。「あれ?携帯はどこだ?定期はどこだ?」なんつって。

これが、チェーン居酒屋の入っているビルとかになるとまた厄介なのである。

1階から何人もが乗り込み、居酒屋の階で降りる。
すると、あとから乗った人が先に降りて受け付けしちゃったりするのである。僕はそんな残念な姿を見たことがある。大学の頃。

フライデー襲撃の時のそのまんま東の現象である。

この居酒屋エレベーター問題について、僕はいまだにいい方法が思い付いていないのだが、現に居酒屋の経営者はどういう風に考えているのだろうか。

僕がただひとつ言えるのは、エレベーターに最初に乗った人は、降りたい階で一番先に降りるべきである。それこそがマナーなのだ。
小さいエレベーターでは、先に降りていただいた方があとのひとが降りやすかったりもする。
そして、スムーズにみんなが降りるなら、それぐらいの時間、ドアはしまらなかったりするのである。

ー先に乗った人が先に降りるー
これはマナーの向こう側なのだ。

これは、先に乗った人が、あとから乗った人を先に降ろしてはいけないということではなく、先に出て行ったとしても、それはマナーの向こう側だということである。
もし悪く言う人がいたら、思慮が浅く見えてしまうと言うこと。

大切なのは、マナーを守るとか破るとかより、マナーを更新させることなのである。

古いマナーを守り続けることは、マナーを大切にすることについてのマナー違反なのである。

おっと、この最後の一文のようなオチ(まとめ)は嫌いなので、このあと削除する。

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