あとがきで感謝を綴るルーツ タモリ大橋巨泉風に解説

Memo(ツイートポスト)

タモリ: いやあ、ネットの世の中でありながらも、本はなくならないものですよね。最後に「あとがき」ってあるじゃないですか。あそこにほら、お世話になった人への感謝を延々と書くでしょ? あれ、いったい誰が始めたんですかね。

大橋巨泉: バカだなあ、タモリ。あんなのね、昭和のテレビ業界の「全方位土下座文化」から生まれたに決まってるんだよ!

タモリ: ほお、土下座文化。

大橋巨泉: そうだよ! 本を書いた人間が、編集者から妻、果ては「通りすがりの野良犬」に至るまで感謝しとかないと、世間から「あいつは傲慢だ」って叩かれる強迫観念なの! だからみんな、こうやって書くわけ。「妻の支えなくしてこの本は……」ってね。いや、お前の妻の支えなんて読者は一文の得にもならねえよ! っての!

タモリ: ははは、確かにねえ。うちの妻なんか、原稿書いてるときに「早く食べろ、風呂洗え、ゴミ出してきてって!」って怒鳴ってましたからね。あれを「献身的な内助の功」に変換するんですから、人間の脳みそってのは都合よくできてますよねぇ。……で、これが高じてくると、免罪符みたいになってるやつもいましたからね。

大橋巨泉: 免罪符?

タモリ: ええ。「この本に書いてあるデタラメな知識は、すべて担当編集の〇〇氏の責任であり、私には一切の知見がありません」って感謝じゃなくて、責任逃れの防波堤にしてるやつ。これ、フランスの貴族あたりがやり始めましたからね。「オイ、ピエール、あとがきの謝辞に『国王陛下の慈悲深きご寛容に感謝する』と書いておけ。さもないとギロチンだ」って。

大橋巨泉: おい、フランス革命を勝手に持ち出すなよ! 日本のは単なる文学的感傷だよ。もっとこう、日本人の「お互い様精神」が爆発した結果なの! 「〇〇印刷の工場長、夜を徹しての製本ありがとうございました」って、もはや身内びいきの域を超えて、全日本国民参加型の運動会だよ!

タモリ: じゃあ巨泉さんも、昔エッセイ出したとき、あとがきに書いたでしょ? 「ジャズ喫茶のマスター、うるさい客を追い出してくれてありがとう」って。

大橋巨泉: 書くかそんなもん! 俺は「この本を買ったお前らが偉い! 以上!」って書いておしまいだよ!

タモリ: さすが巨泉さん、潔いなあ。じゃあ僕も次の本では「あとがき:特になし。全員、自力で生きてください」って書きますわ。

大橋巨泉: それじゃ本が売れねえよ!

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