田中屋スポーツ新聞 9月25日「ブレッド&バターとビリーバンバン 小説28」編集/田中宏明

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シティスナップ 夕刻コラム(社説盤) 夕刻日誌 外食記録と日記

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夕刻日誌「田中屋式ダイエット法」

田中屋の夕刻コラム「ブレッドアンドバターのどっちか脂肪?!」

ビリーバンバンの兄…

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湘南サウンドで売ってるのがビリーバンバンで、国立出身を売っているのがブレッド&バター

え、逆?!

田中屋のシティスナップ「吉祥寺の喫茶店の女」

撮影/田中宏明

連続小説「女の風景写真」第28話 作/奈良あひる

チェックインを済ませ、三人で並んで廊下を歩く。
 絨毯は厚く、靴音は吸い込まれるように響かない。けれど、その静けさがかえって胸の鼓動を際立たせた。

 夫は無言のまま前を歩き、手に鍵を握っている。その背中は固く、しかし迷いではなく、何かを決意したように見えた。
 由紀子はその少し後ろを歩き、男は彼女の隣にゆっくりと歩調を合わせていた。

 ――この先にあるのは、もう戻れない夜。

 由紀子は唇を噛み、視線を床に落とした。赤い模様のじゅうたんが波のように揺れて見える。
 隣を歩く男の気配が、妙に近い。だが、その一方で夫の肩越しに見える鍵の銀色が、重たく光っていた。

 やがて目的の部屋にたどり着く。
 夫が立ち止まり、ゆっくりと振り返った。
 「……いいな?」

 由紀子は息をのみ、うなずくしかなかった。
 男も短く頷く。
 その三者の間に流れたのは、言葉よりも確かな承認だった。

 夫がカードキーを差し込み、カチリと音が響く。
 その小さな音に、由紀子の全身がびくりと震えた。

 ドアノブに手をかけた夫は、しばし動かなかった。
 その沈黙は、最後の猶予のようでもあり、合図を待つ間合いのようでもあった。

 由紀子は、意を決して囁いた。
 「……お願いします」

 夫の手が静かに回され、扉が開いていった。
 そこに広がる空間は、日常とはまるで異なる、未知の世界の入り口に見えた。

つづく

作者紹介 

田中宏明 1980年生まれ 東京都昭島市出身の写真家・放送作家。  

2003年 日本大学文理学部応用数学科 ぎりぎり卒業。下北沢・吉祥寺での売れないバンドマン生活&放送作家として日テレ・フジテレビ・テレビ朝日を出入りする。現在はピンでラジオと弾き語りでのパフォーマンスをおこなっている。  
◆写真家:シティスナップとかるーい読物「井の頭Pastoral」撮影・編集  
◆放送作家:ラジオドラマ「湘南サラリーマン女子」原作・脚本 オールデイズ直江津Radioで放送中! 

出演ラジオ 第98回 

第98回!「BerryBerryBreakfastのオールデイズ直江津Radio」ヨーグルト田中とDJシューカイ

田中屋のシティスナップ 

田中屋のシティスナップ 旅情俳句前夜「雨に濡れる高田馬場の女」撮影/田中宏明 #サーファー #shorts #zine 

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