コメダでスポーツ新聞を読む~売野雅勇コラム

売野雅勇は好きな作詞家のひとりだ。少女Aやギザギザハートの子守歌など、80年代ヤンチャソングの代表格である。
そんな彼がコラムを書いている。
売野ときいてどれだけの人がピンとくるのかはわからないですが、スポーツ新聞のすごいところと言える。
他にどこで、このコラムが読めるのか。
ミスチル桜井の出現によって、自分の生活を変えたという話が乗っている。
いつの間にか時代遅れになっている自分を壊したのだ。それは、筒美京平など先輩作家の教えであったと。
そんな話が聞ける170円のスポーツ新聞はすごい。
文/田中宏明
すき家牛丼等一部値下げ
物価が上がっているのはしょうがないことと理解しなければ話がすすまないムードになっているが、実際は値上げしなくてもいい人達が何かに便乗して値上げしてることがほとんどであるというのはきづいていることであると思います。
そりゃ商売なんてのはとにかくに値段上があがって同じ数量がうれればそっちの方がいいに決まっているので、便乗値上げは当然発生するものと思う。
そんな中で、それに付き合うことをやめるという勇気ある行動のようだ。
すき家は吉祥寺よく行ったものだ。
旅先でも通しかかると食べたくなる。
田中屋のシティスナップ

井の頭アパートの女 撮影/田中宏明
連続小説「女の情景写真」第2話 作/奈良あひる

由紀子がパソコンを閉じようとしたとき、ドアベルが軽く鳴った。振り向くと、背の高い男が入ってきた。白いシャツに薄いグレーのズボン。首筋にかけた眼鏡を外し、目を細めて店内を見渡した。
どこかで見覚えがあるような気がした。はっきり思い出せないが、近所の人でも、夫の同僚でもない。それでも、どこか既知の匂いがした。
彼はカウンター席に腰を下ろした。マスターと親しげに言葉を交わしている。常連なのだろう。由紀子は無意識に姿勢を正した。パソコンの画面を閉じたまま、手を膝の上で組み、視線を窓の外に逸らした。
だが数分後、思いがけず声をかけられた。
「失礼ですが、先ほどからお書き物を?」
振り返ると、彼が立っていた。マスターに頼んだアイスコーヒーを片手にして。
「あ……ええ。たいしたものじゃありません」
「なんだか、懐かしくて。僕も昔、こうして喫茶店でレポートを仕上げたことがあったものです」
言葉の調子は穏やかで、押しつけがましさがなかった。由紀子は、曖昧に笑い返す。会話を続ける理由もないのに、なぜか切り上げられなかった。
「お近くにお住まいですか」
「ええ、歩いて十分くらいです」
「じゃあ、いつかまたここで」
彼はそれだけ言って、カウンターに戻った。やがて新聞を広げ、ひとりの世界に入り込む。由紀子は胸の奥で、小さな波が立つのを感じた。
帰り際、マスターが「またどうぞ」と言ったのと同時に、その男が新聞から顔を上げ、軽く会釈した。由紀子も頭を下げる。言葉は交わさなかったが、その瞬間、何かの糸が確かに結ばれたように思えた。
外に出ると、バイクのメットに午後の陽射しが反射した。ヘルメットをかぶりながら、由紀子は自分でも驚くほど静かな胸の高鳴りを覚えた。
家庭へ戻る前のひととき。自分だけの秘密が、そっと芽を出したような気がした。
つづく
=ライブのおしらせ=
BerryBerryBreakfast現場ラジオLive
9月7日 南林間チャンドラ・スーリヤ
17:30スタート
オールデイズ直江津Radioモーニングから
ラジオドラマ「わけありキャバレー」と歌の世界をお届けします。
脚本・歌・出演/田中宏明
編集者紹介
田中宏明 1980年生まれ 東京都昭島市出身の週末の写真家・放送作家。
2003年 日本大学文理学部応用数学科 ぎりぎり卒業。下北沢・吉祥寺での売れないバンドマン生活を経て、会社員(番組制作→不動産業)となる。
◆写真家:シティスナップとかるーい読物「井の頭Pastoral」撮影・編集
◆放送作家:ラジオドラマ「湘南サラリーマン女子」原作・脚本 オールデイズ直江津Radioで放送中!
出演ラジオ 第95回
田中屋のシティスナップ
田中屋のロード俳句
田中屋のロード俳句のテーマ「それって感情の環状ってことよね」
井の頭Pastoral
わけありの女