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夕刻日誌「交際0日結婚って実在するの?!」
夕刻コラム「上戸彩の”苦手なんです構文”」


「この苦手なんです」は「したくない」ということを言いたいだけですよね。
したくないというと何か角が立つのを恐れた表現であるといえます。
なぜならその一つの理由は、自分のことだからです。
ただ「したくない」ということを言いたいだけなのですが、したくないと言っててしまうと、それをしている人の反対意見ととられてしまいます。それでは相手を不快にしてしまう可能性があります。
そこで、苦手という言葉で、自分は(したいけど)できない風の表現にしています。このしがらみ感、女の社会を感じます。それと同時に、発言のしづらさを感じます。
こういう表現は、正確性がぶれる可能性がありますのであまりお勧めしないのですが、上沼恵美子みたいに地方番組で言いたいこと言っている人もあんまり信用できません。
ただはばを聞かせているだけだからです。
この上戸彩の発言は言わなくてもいい内容のようにも聞こえますが、言いたかったのだと推測します。
つまし、生活感仕事場に持ち込むなと言いたかったのだと受け取りました。
連載小説「女の風景写真」第21話 作/奈良あひる
喫茶店を出ると、まだ午後の光が街にやわらかく射していた。
由紀子はバッグの中のノートパソコンの重みを意識する。――あれに、これからのことを書き記すのだ。夫に読ませる「物語」として。
彼が歩調を合わせながら小声で言った。
「今日から始めよう。俺たちの物語を」
その声音には、秘密を共有する者同士の甘やかな熱が混じっていた。
二人は人通りを避け、路地を抜け、駅近くのホテルに入った。
エレベーターの中では言葉ひとつ交わさず、ただ互いの視線だけが絡み合う。
由紀子の胸は高鳴り、けれどそれは恐怖ではなく、むしろ自分の「役割」を果たす歓びに近かった。
部屋の扉が閉まると、外の喧噪は消えた。
彼はすぐに由紀子の肩に手を置き、ゆっくりと抱き寄せた。
「ここからが一章目だ」
囁く声に、由紀子は小さく頷いた。
唇が重なり、衣擦れの音が静かな部屋に満ちていく。
時間が流れるごとに、現実と物語の境界が薄れてゆくのを由紀子は感じた。
――これは裏切りではなく、記録。彼に読ませるための真実。
行為の最中、彼がふと耳もとで言った。
「この瞬間も書いてくれ。どんなふうに触れられて、どう感じてるのか……旦那に読ませよう」
その言葉に、由紀子の背筋が震えた。夫の姿が一瞬頭をよぎる。彼がこれを読んでどう反応するのか。怒るのか、もっと熱を帯びるのか。
終わったあと、二人はまだ乱れた呼吸を整えながら横になっていた。
窓の隙間から射す午後の光が、床に斜めの影を落としている。
由紀子は汗に濡れた手を胸にあて、ぽつりと呟いた。
「書くわ……あなたの言った通りに。すべてを」
彼は満足げに頷き、彼女の髪に指を差し入れた。
こうして、夫に読ませるための「最初の逢瀬」は幕を開けた。
物語はもう、由紀子ひとりのものではなかった。
つづく

作者紹介
田中宏明 1980年生まれ 東京都昭島市出身の写真家・放送作家。
2003年 日本大学文理学部応用数学科 ぎりぎり卒業。下北沢・吉祥寺での売れないバンドマン生活&放送作家として日テレ・フジテレビ・テレビ朝日を出入りする。現在はピンでラジオと弾き語りでのパフォーマンスをおこなっている。
◆写真家:シティスナップとかるーい読物「井の頭Pastoral」撮影・編集
◆放送作家:ラジオドラマ「湘南サラリーマン女子」原作・脚本 オールデイズ直江津Radioで放送中!
出演ラジオ 第98回
田中屋のシティスナップ