=青春プチロマン小説=ありそうでなくて、それでも起きそうなロマンスをお届けする短篇小説。きっとどこかで起きている。
第33話
陽太は…、パー
なんでパーなのよ、加恵は笑って残念ねと笑みをこぼす。
陽太は一方的に連絡先だけ渡して降りて行った。熱海と小田原の間にすんでいるのかしら。
そんなことより、なんでグー出さないのよ。
この「女が日本一周の旅に出る時」をどうやって締めくくろうかと考えていたところだった。
この男と小田原で降りて、写真を撮って、その流れでしちゃったりして…それもよかった気がする。旅先で出会った写真少年と…。
そのあと、その時の写真が送られてきて、そのあと二人のはどうなるのか、とか。それもいい。
ああ、なんであそこでパーなのよ。
なんだかもやもやしてきた。
陽太は今頃ほかの誰か見つけて写真でも撮っているのだろうか。それとも、もうホテルに入っているのだろうか。写真が目的であっても、ホテルにはいきたいでしょ、写真やっているんだから。そんなことぐらいわたしにもわかるわ、何か作る者としてね。
加恵は、加恵は電車を乗り換えた。
降りようと決めた駅があったからだ。
つづく
青春プチロマン小説「女が日本一周に出る理由」第32話 作/奈良あひる

作者紹介 奈良あひる
1990年生まれ渋谷のOL
編集者紹介
田中宏明 1980年生まれ 東京都昭島市出身の週末の写真家・放送作家。
2003年 日本大学文理学部応用数学科 ぎりぎり卒業。下北沢・吉祥寺での売れないバンドマン生活を経て、会社員(番組制作→不動産業)となる。
◆写真家:シティスナップとかるーい読物「井の頭Pastoral」撮影・編集
◆放送作家:ラジオドラマ「湘南サラリーマン女子」原作・脚本 オールデイズ直江津Radioで放送中!
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