青春プチロマン小説「女が日本一周の旅に出るとき」第28話 作/奈良あひる

短篇小説
DSC_0847
短篇小説

=青春プチロマン小説=ありそうでなくて、それでも起きそうなロマンスをお届けする青春プチロマン小説。きっとどこかで起きている。

第28話

旅の終わりというものはいつくるのだろうか。

場所なのか、目的が達成したときか、興味がなくなったときか。

場所なんて全然始まったばかりまだ2県目である。

目的…、目的なんてもともと…

私はもう目的は達成されているのかもしれない。達成したというよりか、材料みたいなものは揃って、あとはそれをどう活かすかというところなのでないかと思うようになった。

私は今入れられている。

なんだかちょっとモテ期みたいなものを味わせてもらった。

私は今入れられている…、のではない。

入れてもらっているのだ。

それをふと思い出した。あの男とのベッドでだ。

あのころの私は確かに「入れてもらっているとき…」という表現を使っていた。

18の頃から付き合っていた人とはじめてベッドに入ったときのこと。

私はその前に数人の経験していた。その時彼は初めてだった。一生懸命入れようとしてきている。私は大勢と角度を調整して彼のものを導いていった。

彼はすぐにイッてしまった。1歳年上の人だった。

ゴムしていても、ちゃんと私の中から抜いて射精していた。それが愛おしかった。

私は彼とのサナカに「私入れてもらっているときイッたことがないの」とポロッと言ったことがある。

そしたら、そしたら彼は今出したばっかりなのにもう一度私を抱き寄せて全身を味わって入れた。濡れた。

10代の男女にとって、今までにもう経験しているかどうかって確認しにくいものだった。

私の「入れてもらっているとき」という言葉には、彼が初めてではないということが伝わるには充分だった。

そして高校を卒業したばかりの私なので、その経験というのは高校時代であることも伝わった。

それがきっとしびれたのだ。

私は今入れてもらっている。入れてあげさせているわけではない。

つづく

前話(第27話)

作者紹介

奈良あひる

女に必要なのは断らない勇気。 それからというもの恋のめぐり合わせが始まったまりました。経験をもとにロマンスをお届けします。 井の頭Pastoralにも寄稿してます。

タイトルとURLをコピーしました