青春プチロマン小説「なんとなく想い出の鶯谷」作/奈良あひる

短篇小説
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短篇小説

ありそうでなくて、それでも起きそうなロマンスをお届けする青春プチロマン小説。きっとどこかで起きている。

想い出の鶯谷

沙羅(さら、会社員)は結局結婚していなかった。もうすぐ40歳になる。

正直時間を持て余している。婚活とやらも捗らなくなって、なんとなく活動が止まったところだ。

そして、なんとなくスタバなんて寄ってみたりして、なんとなく雑誌を読んでみたりして、過ごしていると、なんとなく昔の男を男を思い出したりもするものだ。

「私から別れたあの男と付き合っていたら、結婚していただろうか」

連絡先は消していない。消すデメリットは特になかった。別に追いかけてくるわけでもなかったから。メリットはまぁそこそこ。

別れてから一度会ったことがある。何もなかったように、ひさしぶり!といった具合に。

ご飯でも食べて、珈琲でも飲んで、ホテルに入って。ホテルのテレビをつけたらmステがやっていて、Bankbandがtoyouを歌っていた。

二人は充実した時間をすごした。だって沙羅だってカズヒロ(元彼)だって、それから数人と経験していたわけだから。

そういえば、私から別れを告げた日はちょっと大変だった。

彼に家で泪でドロドロになりながら抱き合ってキスをして、揉まれて、それでも最後まではしなかった。あの頃若かったのか、最後までしてはいけない美学みたいなものがあった。彼は最後まで求めた。最後なのだからと。

今思えば、最後までしたってなんら問題なくて、その方がスムーズだったかもしれない。

最後までしなかったことは彼にとっては辛かったかもしれない。

でもそれはしょうがない。

私はもうすでの別の男と寝てしまっているのだから。

つづく

作者紹介 奈良あひる

女に必要なのは断らない勇気。 それからというもの恋のめぐり合わせが始まったまりました。経験をもとにロマンスをお届けします。 井の頭Pastoralにも寄稿してます。

1990年生まれ 渋谷のOL

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