田中屋の「短篇小説原案書き方メモ」田中宏明

短篇小説
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短篇小説

この世のほとんどのことはパターン化できないと思うのですが、できたらいいなと思うものもあります。それは短篇小説です。試しにつくって

原作メモ

・目に見える情景と説明

・登場人物の説明

 テーマとなる行動(のちにも出てくる)

次の場所の案内

・場面2の説明

日常会話

キー人

その人とのやりとり 発展

計画をこじらせる展開

・結果

・メルヘンまとめ

さぁ、適当に書いてみましょう!

適当にタイトルをつける。あとで変更すればいいので。

「飲み会ジェットコースター」作/田中宏明

「乾杯!」という発生でゴングは打ち鳴らされた。飲み会というものが始まったのである。まるでリングのような場である。もう逃げられない。

「中山美穂かわいかったですよね」「おじさんがパーカー着たらまずいんですか」なんて、ちょっとしたネット記事の話題にして、するどい意見もなく新しい切り口もなく、酒を飲み始めてまだ酔いもまわらない徐行は、相手の出方をみるような間合いの取り方である。

誰がはじめに声が大きくなるのかそれがこの物語の主人公となるのであろう。

八丈島の小さいな小学校の教員の飲み会で参加者は8人、校長・教頭を除いてあともう一人だけ野暮用で来れないということで8人での開催となった。

「クラスで飼っていたカニがいなくなった」と、5・6年の担任をしているゆうみ先生が話し出した。そしたら学級委員の佐々木のぶひろ君が犯人捜しをはじめたの。ユーチューブで古畑任三郎を見たみたいで、

佐々木君は全員のアリバイを確認して、この事件は水槽を脱走したという未解決事件になったのだ。

小山「そういえばゆうみ先生疑われてましたよ。あの時間に目撃情報があったって」

ゆうみ「ちょっと待ってくださいよ、なんで私が」

加藤「ゆうみ先生その時間実際教室に入ったんですか?」

ゆうみ「入りました」

加藤「何してたんですか?」

ゆうみ「忘れ物を取りに来たんです。モバイルバッテリー」

亀山「その時カニはいたんですか?」

ゆうみ「水槽は見ていないです」

亀山「田中先生、子どもがカニを飼っているって言ってましたよね?カニはあの水槽の壁を登れるんですか」

田中「登れないと思いま…、ごにょごにょ」

加藤「田中先生あの時間のアリバイは」

田中「喫茶SOKODOにいました」

加藤「あの日 田中先生代休でしたよね。何をしてたんですか?」

田中「コーヒーを飲んでいました」

加藤「そんなのはわかってんだよ!なんでそこにいたんだよ!」

田中「人と会う約束で…、ほにょほにぃお」

鷲尾「それ、犯人僕なんです。おなかすいて食べちゃったんです」

ゆうみ「そういえば鷲尾先生よく餌あげてましたよね」

加藤「鷲尾先生!」

亀山「しかし鷲尾先生は、あの日もいつものように人の分まで給食食べてましたよね。あれでおなか減っているとは思えません。カニですよ。サワガニ」

鷲尾「すいません。今度八重根側で捕ってきます。なのでやめませんか、この話」

亀山「いや、鷲尾先生はとっていません。腹減ったから生徒がかわいがっていたカニを食べるなんてありますか」

ゆうみ「自白してるんですから、本当なんじゃないんですか」

加藤「鷲尾先生は誰かをかばっていますね」

田中「鷲尾先生はやっていないんじゃないんですかね、ほにょにょ」

ゆうみ「あんたは黙ってなさいよ、いなかったんだから」

大将「いらっしゃいませ」

パーカーを来た教頭が予定外に入ってくる。

教頭「やっぱここにいたかぁ、それにしてもカニってのは面白いもんだな、うちの孫がカニがいなくなったと泣いちゃってさ、次の日にはいるのよ。土の中に数日間潜ってたりするんだからすごいよね、孫は猫を疑ってたよ。あ、生ビールひとつ」

ゆうみ「鷲尾先生がクラスで飼っていたカニ食べちゃったらしいですよ」

教頭「こいつがそんなことできるわけねーだろ。こいつはただの大食い豚野郎だ、ハハハ…」

そんな今年最後の飲み会は犯人捜しで終わった。

居酒屋を出た帰り道、鷲尾先生は田中先生につぶやいた

鷲尾「僕がカニを食べようして教室に入った時、ゆうみ先生がちょうど出て行ったんですよね。そのときすでにカニはいなかったんです。僕は実は食べてないんです。田中先生は喫茶SOKODOで何してたんですか?」

田中「ゆうみ先生が、カニの捕り方を教えてほしいって、底土川で。でも来なかったけどね、忘れ物をしたとか何とかで。なんで犯人でもないのに自白したんですか?」

鷲尾「なんかああいう話おもしろくなくて、共通の話題となるとああなっちゃうんですかね。犯人でもない人が犯人ですと名乗り出るとどうなるのかなと思って、そのまま犯人になっちゃうんですかね」

田中「僕はずうっと見届けてましたよ、無表情で。この物語は何処へ行っちゃうのかなって。まるでジェットコースターだね。走り出したら誰にも止められない、みんな酒の勢いかなんかで言いたいこと言って。最高の映画だった。時には自分も疑われ」

どうせ、土に潜ってるんだろ。

鷲尾「教頭の来ていたパーカー ブロンズエイジでしたね」

田中「知ってるの?!あれ流行ったよな」

飲み会は映画だ。それも自分もちょい役で出演している。どういう結末になるかは誰も知らない。いや、偉い人は知っているんだろ。

作者紹介 

田中宏明 1980年生まれ 東京都昭島市出身の週末の写真家・放送作家。 

2003年 日本大学文理学部応用数学科 ぎりぎり卒業。下北沢・吉祥寺での売れないバンドマン生活を経て、会社員(番組制作→不動産業)となる。 

◆写真家:シティスナップとかるーい読物「井の頭Pastoral」撮影・編集 

◆放送作家:ラジオドラマ「湘南サラリーマン女子」原作・脚本 オールデイズ直江津Radioで放送 

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