「熱海の奇跡」著者:市来広一郎
熱海の駅が建て替えになる前あたりから、僕は熱海をうろうろし始めた。きっかけは、バンド活動の福利厚生でした。
スタジオ付きホテルみたいのがあれば最高だったのですが、そうもかんたんには見つからず、結局日帰りとなった。
そのとき、駅前商店街には人がいるが、サンビーチ・熱海銀座へ向かう道にはそんなに人はいないようであった。
それはバンドの福利厚生の旅としてはよかった。
しかし、その視点ではなく、地元商売としては芳しくない状況、それを変えていこうという考えがこの本の主なテーマだと思います。
「熱海を変えたのは俺たちだ」「熱海の賑わいを取り戻したのは俺たちだ」と強い想いが文章の中にあふれています。
僕は熱海を歩いて、町のひとと立ち話をしていくなかで、この作者の名前は数ヵ所から聞きました。この方に聞けばわかるよ、などと。
そして、この本にも出てくる、カフェROCAにいけば会えるかもよと、和菓子屋の姉さんからお聞きして、そのカフェを訪ねましたが、つまりそう簡単に会える人ではないのですよと、カフェの女性スタッフさんに優しく諭されました。ああ、お恥ずかしい。
表から見える、熱海一大勢力ともとれる、そのグループの結束により、炬火の難しいゲストハウスを実現させたり、熱海銀座のイベントを実行したりと、僕もかなり影響を受けております。
BerryBerryBreakfastの出演も決まっていた熱海マルシェもこの方々の力でありました。2回連続中止になりましたが。台風の接近と謎のウィルスにより。
特に若者に向けて、熱海の面白さ奥深さを感じることとなりました。
この本は、まさにこの著者が率いるグループが未来へ向かって実現する仲間たちへのメッセージだと思います。
僕は難しいことはわかりませんが、つまり、それによって熱海が復興したかはわかりませんが、それだけは言えます。
熱海は近くて遠く、レトロであたらしく、過去で未来で、
そんな場所で
そんな場所だから、僕はあきずに小田急線に乗ってしまうのです。
文/田中宏明