巨泉:おいタモリ、お前さ、さっきからテレビのスポーツ中継見て文句ばっかり言ってるけどな、何が気に入らないんだよ?
タモリ:いやね、巨泉さん。スポーツってのは本来、太陽の下で汗を流して爽やかにやるもんじゃないですか。それなのに、世の中にはどうしても解せない「闇の競技」があるんですよ。
巨泉:闇の競技? なんだよそれ。野球か? ゴルフか?
タモリ:違いますよ。卓球ですよ、卓球。
巨泉:卓球かい! お前、全国の卓球ファンに怒られるぞ。オリンピックの種目にもなってる立派なスポーツじゃないか。
タモリ:いやいや、巨泉さん。あれをスポーツと呼んでいいんですか? まずね、ウェアが暗い。青か紺のポロシャツを着て、暗い体育館の隅っこで下を向いてパコン、パコンって……あれ、根暗の極みでしょう。
巨泉:お前なぁ、言い方があるだろう! あのな、球速だってすごいんだぞ? スピード感があってチェスみたいな頭脳戦なんだよ。
タモリ:頭脳戦っていうか、怨念のぶつけ合いですよ。サーブ打つ前に球をじーっと見つめてね、何か呟いてるんですよ。「あいつのあのカットが許せない……」みたいな顔して。テニスを見てごらんなさい。「ナイスショット!」って爽やかに叫ぶでしょう? 卓球でそんな奴見たことありますか?
巨泉:そりゃ「ナイスボール」くらい言うだろ!
タモリ:言わないですよ。みんな声をひそめて、相手のミスをニヤッと笑うんです。あの「パコン……パコン……」って音もいけない。あれは精神をじわじわ追い詰める音です。
巨泉:お前、完全に偏見だよ! 大体な、あの狭い台の上で繰り広げられるコンマ何秒のドラマを理解できないとは、タモリもまだまだ甘いな。
タモリ:ドラマっていうなら、もっと明るい照明の下でやってほしいですね。暗闇で温泉浴衣着てやるのが一番似合うスポーツなんて、他にありませんから。
巨泉:まあ……温泉卓球は確かに美味いビールが飲めるけどな! う〜ん、なんだかお前に言われてると、だんだん卓球がネクラに見えてきたじゃないか。たく、恐ろしい男だよ、お前は!
