田中屋の夕刻日誌「喜多條忠のサイン会」田中宏明

夕刻日誌
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=夕刻日誌=日常はエッセイにするとちょっとメルヘン。卒論のネタとスナックのママの話題のネツマミとは似たようなものだ。デートにも使える話題のネタを紹介。満員電車の脳内暇つぶしにも。

サイン会

サイン会っていったことありますか?

僕は一度だけ行ったことがあります。

喜多条忠

あ、条だっけ、條だっけ?

僕が風呂なしアパートの生活に憧れたのは、ある意味この人の影響です。

かぐや姫の神田川・赤ちょうちん・妹、それと山本コウタローとウィークエンドなどへ詞を書いていた。

神田川の映画もおすすめできます。

関根恵子、草刈正雄主演

マキシーも出てきます。

ただずっと暗いんですよね。ラストも暗い。

70年代と言えば、神田川で、70年代言えば暗いというイメージはこの男のしわざあのであります。それでもそれに憧れて。

生活というものに憧れていたんですよね。自分にとってそういう時代があって、その時代があっての、もっと輝く青春がある、なんて。

なんてたって、神田川の影響はすごくて、銭湯がよいというのが最高にかっこいいと思っていた。

そんな作詞家であり放送作家がサイン会なんてやったらいくしかないのだ。あの時代にあの世界観に会える気がしたのだ。

当時は下北沢に住んでいた。ファンなので当然ファンレターを書いた。

そして、下北沢の風呂なしアパートを出て、丸の内の丸善にいったのだ。下北沢にいるやつが丸善なんていかねー、縁がないと思いながら。

ファンレターには、弟子にしてくれというようなことを書いて、連絡先を書いて。

そんなことで、未来が変わるような気がしていた。宝くじよりは当選確率が高いと思って何事もやっている。

結局、その本は今ない。どこへ消えたか。

結構な長編で最後まで読めていないのだ。

正直、会うために買ったとも言える。しかし、今もう一度買って読みたい。

しかし、あのサイン入りの本どこ行った。

こんな小さな部屋でなくなるのか。

買ったけど読まなかった本って、どこかへいってしまう気がする。そういうことは何度も思い当たるところがある。

しかし、サイン会はそんなに人がいなかった。

それでもサイン会を開催してくれたことは本当にありがたく思っている。

作者紹介

田中宏明 1980年生まれ 東京都昭島市出身の週末の写真家・放送作家。

2003年 日本大学文理学部応用数学科 ぎりぎり卒業。下北沢・吉祥寺での売れないバンドマン生活を経て、会社員(番組制作→不動産業)となる。

◆写真家:シティスナップとかるーい読物「井の頭Pastoral」撮影・編集

◆放送作家:ラジオドラマ「湘南サラリーマン女子」原作・脚本 オールデイズ直江津Radioで放送

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