青春プチロマン小説「結婚後にもう一度」第5話 作/ 奈良あひる

短篇小説
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一貫性

一貫性?そんな言葉はどうでもいいということに気づいたのは30代に入ってからだった。

人生のスパイス


理由とか理屈のブームもあったような気がする。

今となれば、判断の基準はもうほとんどと言っていいほど、人生のスパイスかな。

ボーカルとはいつのまにか数年会っていなかった。
会っているときも理由なんてなかったのだから、会う期間が空くことにも理由はないし。

会えばしてたけど、するために会っていたわけでもなくて。
「したいから会おう」なんてやりとりもしたことがない。
してもいいししなくてもいい。ただ、すれば気持ちいいというのは事実で、そこの充実感はあった。ただしなくても、会ったことが時間のむだなんてことはまったくなかった。
楽しかった。

そういえば、ボーカルが風邪をひいたなんて言うときに、食べ物を買って、アパートのドアノブにかけておいたなんて時もあったな。

給湯室にて


そんなことを最近給湯室でぼんやり考えることがある。
淹れたコーヒーの温度が飲むにちょうどいい温度になるまでのあいだに。

本社の人

今日は、「本社の人」が来る。ちょっとした準備をするまでにはまだ少し時間があるといった頃。

その「本社の人」は予定より早く現れた。

つづく

=奈良あひるprofile=

東京都出身。

電車の一駅で読める官能小説を執筆

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