青春プチロマン小説「女が日本一周の旅に出る時」第31話 作/奈良あひる

短篇小説
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短篇小説

=青春プチロマン小説=ありそうでなくて、それでも起きそうなロマンスをお届けする青春プチロマン小説。きっとどこかで起きている。 

第31話

帰りの電車というのはあっという間だ。家まで今日中に帰れる。日が暮れる前にだ。

私は電車に揺れながら、この度の中でベッドをともにした男たちのとのことを思い出していた。電車の中でスマホは見ない。ぼんやりと流れる景色を見ながら。どれも素敵な思い出だった。思い出のほかに何もない。いくら誰と寝ようと何も減らない。思い出が増えていくだけ。

「減るもんじゃないだろ」なんて言われてキスをしてエッチをしちゃったこともある。そう、減るもんじゃない。

気持ちよかった。気持ちよかった…。

男「すいません、いまちょっといいですか」
加恵は東海道線の中で話しかけられた。
加恵「ええ、…」
うつろな目で答えた。

男「写真撮らせてもらってもいいですか?その窓の外を見つめる目が素敵だったんで」

加恵「ええ、いいですよ」

男「何を考えてたんですか?スマホを見ない女の人ってちょっとめずらしいですよね」
加恵「え?」
加恵は思わず笑っていしまった。
加恵「なんだと思いますか?」
男「そうだなぁ、別れた男のこととか?」

加恵「うーん、まぁ、半分正解ですかね」
男「半分かぁ、なんだろう」
加恵「大したことじゃないので、想像におまかせしますわ」
男「昔のアイドルみたいですねw」
加恵「そうねw」
男「では、想像に任せさせてもらいます」
加恵「どんな想像してるんですか?」
男「言ってもいいんですか?お任せするって言ったんで怒らないでくださいね」

加恵「もちろん」
いつの間にか男は加恵のとなりに座っていた。

つづく

作者紹介

奈良あひる 渋谷のOL

経験をもとに短篇小説を書いています。

編集者紹介

田中宏明 1980年生まれ 東京都昭島市出身の週末の写真家・放送作家。  

2003年 日本大学文理学部応用数学科 ぎりぎり卒業。下北沢・吉祥寺での売れないバンドマン生活を経て、会社員(番組制作→不動産業)となる。  
◆写真家:シティスナップとかるーい読物「井の頭Pastoral」撮影・編集  
◆放送作家:ラジオドラマ「湘南サラリーマン女子」原作・脚本 オールデイズ直江津Radioで放送中! 

出演ラジオ 第82回 

第82回!「BerryBerryBreakfastのオールデイズ直江津Radio」ヨーグルト田中とDJシューカイ 話題:パフォーマーのかっこよさ,フジテレビ問題

わけありの女 

田中屋の場末シティ物語「芭蕉記念館」篇 #サイドカー #shorts #芭蕉記念館 #わけありの女 #スナックラジオ
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