短篇小説 プチ官能小説の習作「茄子の煮たヤツ」 奈良あひる 「茄子の煮たヤツ」 雨が降っている。今日もまた思い出す人がいる。 駅前のスーパーで茄子が五本百円だったから、ついひとつ手に取った。艶のある紫色の皮に、自分の手元がぼんやり映った。 まだ暑さの残る九月の... 2024.02.18 短篇小説
短篇小説 プチ官能小説の習作2「灯らない部屋」奈良あひる 灯らない部屋 最後に名前を呼んだのは、いつだっただろう。 鍵のかからないビジネスホテルの一室。午後二時の光がベッドのシーツにうっすら影を落としている。彼女はコートを椅子にかけ、窓際のカーテンに触れた。乾いた都会の光... 2024.02.04 短篇小説