第9段落
経済の協力ネットワークについても同様だ。 例えば1ドルを手に取ってみよう。 それ自体に価値はない。 それを食べたり、飲んだり、着たりできない。 しかし、連邦準備制度理事会の議長やアメリカ大統領のような優れた語り手がいて、その人がこの緑の紙は本当にバナナ5本分の価値があると私達に信じ込ませることができる。 実際に、おそらくお金はこれまで人間が発明した作り事の中で最も成功したものだろう。 全ての人がアメリカ合衆国を信用しているわけではないが、誰もが貨幣を信用し、また誰もがドル紙幣に価値を置いている。
第10段落
他の動物が単に川や木、捕食者のいる客観的な世界に住んでいるのに対して、私達人間は二重の世界に住んでいる。 そう、私達の世界にも川や木や捕食者がいる。 しかしその客観的な世界の上に、私達は欧州連合、神、ドル、そして人権など架空の存在から成る、架空現実という第2の層を構築した。 そして時が経つにつれ、これらの架空の存在はますます影響力を増し、その結果、今日ではそれらは世界で最も強大な力となっている。 木、川、動物の存在そのものが、今の合衆国や世界銀行といった架空の存在、すなわち私達の想像の中にしかない存在の意思や決定にかかっている。