田中屋のリアルスポーツ新聞10/12「リオオリンピック凱旋 銀座パレード 福原愛 小説45」撮影/田中宏明

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「田中屋の海賊盤報道写真」

リオオリンピック凱旋パレードIn銀座バドミントンピンの銅!奥原選手を見たかったのですが、反対側で見れませんでした。

この写真はすべて嘘である。

どこがどう加工されているのかもわからない

ただこの写真には、撮影者/田中宏明とある

撮影/田中宏明

田中屋のシティスナップ「柴又の女」

柴又スナップ 撮影/田中宏明

連載小説「女の風景写真」作/奈良あひる

 夜が更けても、部屋の灯りは消えなかった。
 その明るさの中で、ふたりは何度も距離を測り直していた。
 ほんの数センチの差が、触れることと触れないことの境をつくる。
 けれど今夜、その境界線は曖昧に溶けていった。

 言葉はもう、ほとんど役に立たなかった。
 由紀子が小さく首をかしげただけで、夫はその意図を察した。
 視線が重なるたび、過去と現在の輪郭がぼやける。
 思い出のなかの彼女と、いま目の前にいる彼女が、少しずつ同じ呼吸を始めていく。

 それは、懐かしさとも安堵とも違う。
 むしろ、心のどこかに残った痛みが、温度を持ちはじめたような感覚だった。
 何かを取り戻すというより、失ったものの形を、もう一度なぞるように。

 由紀子がふと立ち上がる。
 薄いカーテンの向こうで、街の灯りが淡く瞬いている。
 その光が彼女の横顔に触れると、まるで遠い海を思わせる静けさが広がった。

 夫はただ、その背中を見つめていた。
 かつては隣にいながら、届かないと感じた距離。
 それを、今はようやく受け入れられる気がした。

 触れようと思えば届く。
 けれど、その一歩を踏み出すより前に、互いの存在を確かめる。
 呼吸が重なり、時間がひとつの点で静止した。

 その瞬間、ふたりのあいだに流れるものが変わった。
 愛情でも、執着でもない。
 それは、長い漂流の果てにようやく見つけた「陸」のようなものだった。

つづく

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