田中屋スポーツ新聞 10/8 「田中屋の誰か助けて将棋 田中角栄インタビュー」編集者/田中宏明

短篇小説
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田中屋の海賊盤インタビュー「田中角栄」

田中(宏)「角栄さんにとってのワイロの魅力とはなんですか?」

角栄「人を動かすために人とつながれるすばらしき道具だね。自分もその流れでロッキードから受け取ってしまったんだ。金で人を潤滑に動かせる思っていたら、自分も潤滑に動いていたんだ」

🔸1. 「金で動くのではなく、金でつなぐ」

田中角栄は、金銭を「人を支配する道具」ではなく、「人をつなぐ道具」と考えていました。

「世の中は義理と人情と算盤(そろばん)でできている」つまり、感情だけでも、計算だけでも動かない。その間を取り持つのが“金”だと。政治の世界では、見返りのない善意は続かない

🔸2. 「金を配ることで力を可視化する」

田中角栄の政治手法は「分配の政治」でした。選挙区や支持者に資金を流し、道路をつくり、地元に仕事を生む。それによって「田中角栄に頼めば何とかなる」という信頼が広がった。ワイロや裏金は、その「影の財政出動」でもあったのです。彼にとって金は、言葉より早く人を動かすエネルギーでした。

🔸3. 「制度の外で現実を動かす力」

高度経済成長期、日本の制度や官僚の仕組みはまだ硬直的でした。田中は「制度に従っていては、地方は救えない」と感じていた。だから、形式の外に出て、金でスピーディに動かす。それが「悪」でも「必要悪」でも、現実を変えるための手段だったのです。—

🔸4. 「金の裏にある“情”」角栄の金は、冷たい買収ではなく、温度のある贈与だったとも言われます。「困ってるなら使え」「返さなくていい」。そう言って配ることで、人は恩を感じ、関係が続く。金はあくまで、情の形をしたものでした。—🪶

まとめ

田中角栄にとって、ワイロの魅力とは

「金の力で人と国を動かせる現実感」であり、「人間関係を現金で保証する安心感」でもありました。

彼は「悪」を自覚していたが、それでも「結果を出すなら悪も引き受ける」という覚悟があったのです。

田中屋の誰か助けて将棋

これなんとかなりませんかね

田中屋のシティスナップ

吉祥寺スナップ 撮影/田中宏明

連続小説「女の風景写真」第40話 作/奈良あひる 

夕方、陽が傾きはじめたころ、由紀子はキッチンで湯を沸かしていた。
 小さく鳴るヤカンの音が、心のどこかを落ち着かせてくれる。
 テーブルの上には、夫が差し出したマグカップが二つ並んでいる。

 「久しぶりに、ゆっくり話そう」
 そう言われたとき、胸の奥がかすかに疼いた。
 逃げ場を失ったような、けれどどこかほっとするような感覚だった。

 二人の間には、言葉にできない時間の層があった。
 食卓をはさんで座ると、夫は湯気の向こうで微笑んだ。

 「……全部、読んだよ」
 その声は静かで、怒りも責めもなかった。
 ただ、真実を受け止めようとする人の声音だった。

 由紀子は頷き、カップをそっと持ち上げた。
 手の中の熱が、少しずつ自分を現実に引き戻していく。

 「ごめんなさい」
 その一言を口にしたあと、しばらく沈黙が続いた。
 けれど、夫は首を横に振った。

 「謝らなくていい。
  ……あれを読んで、自分がどれだけ君を知らなかったか、思い知らされた。」

 その言葉に、由紀子の視線が揺れた。
 夫の目には怒りではなく、どこか安堵に似たものがあった。
 まるで、失っていたものをようやく手探りで見つけたような光。

 「僕は、君が何を感じて、どう生きてるのかを、
  もう一度知りたいと思ったんだ。」

 由紀子はゆっくりと息を吸った。
 あの夜のことも、日記に綴った時間も、消えることはない。
 それでも——。

 「……私も、あなたともう一度、ちゃんと話したい。
  あの日記の続きを、一緒に書いてもいい?」

 夫は少し驚いたように目を見開き、そして微笑んだ。

 「“僕たちの話”として、なら。」

 外では、風が窓を鳴らしていた。
 その音がまるで合図のように、二人は自然とカップを傾けた。
 温かい香りが、少しだけ甘く部屋に満ちていく。

 沈黙の中に、確かに新しい呼吸が生まれていた。
 それはかつての夫婦でも、他人でもない。
 “物語を共有するふたり”としての再構築だった。

つづく

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