田中屋スポーツ新聞 9月15日(祝月)「 小説18」編集/田中宏明

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=田中屋スポーツ新聞=新聞を読めと言われた世代!?読むならスポーツ新聞だな。情熱といかがわしさのサンドウィッチ。ジャンクな話題をコーヒーで流し込め!学校でも職場でも使える話題をお届け 

やってないお店に嫌悪感

コラム

インバウンド増 冷める浅草の住民 - Yahoo!ニュース
多くのインバウンド(訪日外国人客)が訪れる東京。凝縮した日本文化を楽しめる浅草は、活気に満ちているように見える。だが、周辺住民にとってインバウンドは「デメリットしかない」という。

連続小説「女の風景写真」第18話 作/奈良あひる

その晩も、夫はパソコンの前に座っていた。
 由紀子は寝室の灯りを落とし、布団に身を横たえながら耳を澄ます。リビングから聞こえるのは、椅子のきしむ音と、ページをめくるようにスクロールする控えめなキーの音。

 (また、読んでいる……)

 夫が文章を追えば追うほど、由紀子の中でひそやかな昂ぶりが膨らんでいく。それは夫婦の営みを取り戻すための火種であり、同時に、彼の心に芽生えつつある何かを察する恐れでもあった。

 翌朝。食卓に座る夫の目が鋭い。
 「……あれ、本当に“物語”なのか?」
 唐突な問いに、由紀子は手を止めた。湯気の立つ味噌汁の匂いがやけに濃く感じられる。
 「何のこと?」
 とぼける声が自分でも少し震えているのがわかった。

 夫は視線を逸らさず続けた。
 「日記みたいに書いてあるだろ。……いや、日記なんだろう。本当に、別の男がいるんじゃないのか」

 その言葉には怒りよりも、抑えきれぬ昂奮が混じっていた。
 由紀子は思わず笑みを浮かべそうになった。――彼はもう、物語と現実の境界を見失いはじめている。

 「信じるかどうかは、あなた次第じゃない?」
 そう言い捨てるように答えると、夫の喉がごくりと鳴った。怒気を帯びた瞳の奥に、確かな火が揺れている。

 その夜、夫は以前よりも激しく由紀子を求めた。まるで「証拠」を確かめるように。
 由紀子は息を乱しながら、心のどこかで冷静に思っていた。
 ――もし本当に実話だとしたら、彼はどんな顔をするのだろう。怒りに震えるのか、それともさらに燃え上がるのか。

 パソコンの画面には、まだ書きかけの一文が残されていた。
 《彼の腕の中で、私は妻ではなく、ただ一人の女になっていた。》

 夫はまだ、その続きを知らない。
 由紀子の胸の奥で、秘密と熱がからまり合いながら静かに息づいていた。

つづく

作者紹介 

田中宏明 1980年生まれ 東京都昭島市出身の写真家・放送作家。  

2003年 日本大学文理学部応用数学科 ぎりぎり卒業。下北沢・吉祥寺での売れないバンドマン生活&放送作家として日テレ・フジテレビ・テレビ朝日を出入りする。現在はピンでラジオと弾き語りでのパフォーマンスをおこなっている。  
◆写真家:シティスナップとかるーい読物「井の頭Pastoral」撮影・編集  
◆放送作家:ラジオドラマ「湘南サラリーマン女子」原作・脚本 オールデイズ直江津Radioで放送中! 

出演ラジオ 第98回 

第98回!「BerryBerryBreakfastのオールデイズ直江津Radio」ヨーグルト田中とDJシューカイ

田中屋のシティスナップ 

田中屋のシティスナップ 旅情俳句前夜「雨に濡れる高田馬場の女」撮影/田中宏明 #サーファー #shorts #zine 
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