田中屋の愛すべき道具(もの)すべてに「ドクターマーチンブーツ 吉祥寺アンバーリオン」田中宏明

夕刻日誌
DSC_1155
夕刻日誌

=愛すべき道具=物より想い出なんて言われて少し落ち込んだりして、それでも道具自体にも想い入れはあり、想い出を作る武器なのである。

DSC_1156

ドクターマーチン(Dr.Martens)

2018年ー

はじめてブーツに興味を持つ事になる。

それまで、10十代の頃も、友人の中では革靴ブームなんてのはありましたが、ブーツは重いし硬いし、自分はその世界を触れずに生きてきました。

吉祥寺に住んでいる頃、革のバッグを自転車につけようとした。バッグの裏面にはたまの知久のサインがある。一部壊れていて、革製品の修理屋に持っていってみることにした。

そこの職人は女子であった。革というものに魅せられていて、革を扱う仕事につきたいという情熱ぶりでそこにいたのだ。革って言うのはやっぱり男のイメージがまだ強いですね。バイクだったり、ロックだったり。気障に皮を身に着けているのはいつも男、というイメージだった。

雨が降った時に履けるように長靴でも買おうかと思っているときに、革靴も候補に入れて、先に気に入ったものがあったら、出会ったら買おうという心持だった。

そこでまず立ち寄ったのが吉祥寺七井橋通り(丸井の横の通りね)の古着屋アンバーリオン。そこで革靴をみていた。品揃えは結構あって、気に入ったデザインもあって、革靴なんてのにときめいてしまった。

だいたい1万円ぐらい。名前だけ聞いたことのあるドクターマーチン。

そこで店員に聞いてみた。

「雨の日に履くなら革靴?長靴?」

その女は言った「革靴ですね」

雨の日なら長靴だろと僕は思ったが、その店員はつづけた

「私は青森ですが、雪も全然革靴で大丈夫ですよ」

調子いいやつだなと思ったが、質問しておきながら、心は革靴を買いたくなっていたのだ。

あとはサイズだな。サイズが合えば買っちゃえ。

おお、ぴったりだ!中古はデザインが気に入って、金額がOKでもサイズが合わないということはよくあること。

それは、経験なので、サイズがあればGOだ。

そして、その後バイクにも出会って、秋なんかに活躍してくれています。

のちにマーチンのショップに入ったこともあるけど、気に入ったデザインがなくて、ほんとあの時買っておいてよかったと思う。探したら出会えない。

ぶっこわれるまで使いたい。最近革がぱりぱりになってきた。それでも履き心地はどんどん良くなってくる。

嗚呼、なんか切ない。それが革。

DSC_1157

作者紹介 

田中宏明 1980年生まれ 東京都昭島市出身の週末の写真家・放送作家。 

2003年 日本大学文理学部応用数学科 ぎりぎり卒業。下北沢・吉祥寺での売れないバンドマン生活を経て、会社員(番組制作→不動産業)となる。 

◆写真家:シティスナップとかるーい読物「井の頭Pastoral」撮影・編集 

◆放送作家:ラジオドラマ「湘南サラリーマン女子」原作・脚本 オールデイズ直江津Radioで放送 

タイトルとURLをコピーしました