=田中屋式短歌= 松尾芭蕉に嫉妬して、バイクで旅して俳句するロードエッセイシリーズ。30文字ぐらいのメルヘン小説へようこそ
短歌
追い求め 味は黒へと 染められて
薄めて飲むなら また珈琲
解説
珈琲が好きだったあいつが珈琲を飲まなくなったりすることもあってさ。そりゃ珈琲に疲れたのさ。
珈琲を飲まないならコーヒー屋はいらなくなっちまうなんて思わないでくれよな。
COFFEEに疲れたのなら珈琲を薄めればいいんだよ。それをアメリカンなんて呼んだりするんだぜ。
ほら、舘ひろしも言ってたじゃないか。うすーい珈琲を渡哲也が飲んでいてそれを飲んでいたら、珈琲の味はそれが基準になったって。
墨汁みたいな珈琲がいいみたいな流れがSNSやらで流れてきて、それを基準にしちまっては人生損しちまうよ。その珈琲は結局飲んだことないわけで。飲めない珈琲のことは忘れちまったほうがいいってもんよ。
それとさ、珈琲なんてのはもともとその味自体が勝負じゃないんだ。何をそれと一緒に流し込むかだね。パンでもいいし、チョコレートでもいいし、クッキーでもいいし。
それとの交わりが珈琲なんだよね。
そして、珈琲興味ありますなんつってつかれてみれば、珈琲の旅は味を求めて疲れて、薄めて飲むことを気づかせるのが目的だったってわかるんじゃないか。
メルヘン解釈
西遊記ではてんじくというわけのわからないものを目指していたが、珈琲もそんなわけもおわからないものをていくようなものなのかもしれない。なのでゴールなんてない、今そこにあるものが最高の珈琲だ。
作者紹介
田中宏明 1980年生まれ 東京都昭島市出身の週末の写真家・放送作家。
2003年 日本大学文理学部応用数学科 ぎりぎり卒業。下北沢・吉祥寺での売れないバンドマン生活を経て、会社員(番組制作→不動産業)となる。
◆写真家:シティスナップとかるーい読物「井の頭Pastoral」撮影・編集
◆放送作家:ラジオドラマ「湘南サラリーマン女子」原作・脚本 オールデイズ直江津Radioで放送