田中屋の俳句エッセイ「電車の連結部分のすーじーぐぁー」田中宏明

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=田中屋式短歌= 松尾芭蕉に嫉妬して、バイクで旅して俳句するロードエッセイシリーズ。約30文字の遊歩へようこそ

俳句

無料個室 満員電車の連結部  
破れた蛇腹に 別れ話

解説

東京名物満員電車の中で、連結部というのは小さな巨大なパーソナルスペースである。

ここへ来るつもりはなかったが、人の波に飲まれて潮の流れのまま流されていったらここだった。

満員電車の中で、この連結部でドアを締めて新聞を読んでいるおじさんなんてのを高校時代はよく見かけたものだ。個室ってところだ。済まし顔で。

小さい頃は僕もそこに好き好んで乗っていたものだ。昔はよく蛇腹が穴空いていて、そこから下が見えていた。石ころが積み上げられているだけの景色。それでも結構大きい穴も空いていたりして、足をいれたら落ちるんではないかという完成度だった。

そう言えば、昔の電車のトイレは、電車からそのまま垂れ流さえていたらしい。過去にあって現代にはない、思いをこぼすことのできる場所なのである。

別れ話に泣くもよし、競馬で擦って愚痴をこぼすもよし

メルヘン解釈

カップルなら二人ちょうどいいサイズである。

作者紹介

田中宏明 1980年生まれ 東京都昭島市出身の週末の写真家・放送作家。

2003年 日本大学文理学部応用数学科 ぎりぎり卒業。下北沢・吉祥寺での売れないバンドマン生活を経て、会社員(番組制作→不動産業)となる。

◆写真家:シティスナップとかるーい読物「井の頭Pastoral」撮影・編集

◆放送作家:ラジオドラマ「湘南サラリーマン女子」原作・脚本 オールデイズ直江津Radioで放送

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