絵と文/田中宏明
日本の3大作家といえば
さくらももこ、向田邦子、そして星新一である。
僕は長編小説が読めないので、短編作家が選ばれるのです。
星新一の出逢いは、中学の頃である。
国語の先生(星新一風にいうとアイ氏)が授業で紹介したのだ。
=兄弟の話=
兄はなんでもできて、弟の僕は何をやっても不器用で、兄の助手役ばかりで、主役にはなれない。
兄は字もうまい、ボールもうまく投げられる。
ある日、兄は交通事故でなくなってしまった。
いまでは僕も兄のように字もかけるしボールも投げられる。
そう、兄の名前は○○、僕の名前は○○。
このオチを考えようというものであった。
正解は兄は右手、弟は左手であった。
このオチを聞いて惚れてしまったのだ。
星新一といえば
何冊あるかわからないぐらい出版されていて、1冊に何編も収録されていて、タイトルがまた内容とあんまり関係なかったりするので、目次を見てもこの話がどこに収録されているのか、いまだにわからないのである。何冊も読んでいるのだけど、その話にはまだ出会えていない。
そして、もうひとつ読んだけど、どこで読んだかわからないはなしがある。
それは、謎のウィルスが蔓延して、亡くなった人はそのウィルスが原因と診断されて、国民は怖がる。
国と医療機関が急いでワクチンをつくり、「みなさん安心してください、ワクチン開発しました」
そして、そのワクチンに国民が殺到する。ワクチンは有料だ。
結局、ウィルスも嘘で、ワクチンも嘘、それで国は赤字を返済するという話。
これは星新一の予言のようなものなのか。SFではなく。
イキガミ
また、イキガミに似た話もあった。どこに収録されている話かは思い出せない。
イキガミを読んだとき、これ星新一をパクってる気がすると思ったのですが、今はそうではない気がする。このような話が出てくることを予言していたのではないだろうか。決して、イキガミ作者が星進一をパクったわけではない。星進一の予言。
その観点でまた星新一作品を読んだら、別の面白さに出逢えるかもしれない。
さくらももこ
高校受験の面接で、好きな作家はと聞かれて、「さくらももこです」と答えそうになったが、「星新一です」と答えた記憶がある。日大鶴ケ丘高校の面接である。オチたけど。
僕らの世代、国語の教科書のうしろの方のついているおまけみたいな文学史の年表の、一番最後(近代)に登場するのは星新一であった。
そのなかで、文豪総選挙が行われたら、もちろん星新一にいれます。
ボッコちゃん、エヌ氏の遊園地、ノックの音が、ご依頼の件は買ったので、4票は入れます。
星新一は、未来にインターネットというものができても、話がどこに収録されているか、検索できないようにわからないように、そうしたのかもしれない。
片っ端から読むしかないかな。星新一のメッセージを受け取って。
文 田中宏明(写真家)
オールデイズ直江津Radio 第34回