ナップス座間にアップガレージ

バイクのタイヤの空気が減っていた。これはどういうときに起きる現象なのかわからない。
僕は2019年にバイクを買って、空気を入れたのは3回目。どういうタイミングで空気圧が減るのかわからない。そんなわけで空気を入れにナップス座間へ。
買う物はないのだけど、バイク用品店というのは面白いものだ。ちょっと気になる物があっても高くて買えない。
それでもこの日は大発見だ。ナップスの中にアップガレージができていた!
吉祥寺に住んでいる時は、東八通りによくいった。ここもアップガレージ併設ナップスでかなり楽しめた。
アップガレージは、中古の用品店で、結構安いのよ。
中古で全然OKの自分には、アップガレージ楽しいすぎる。
バイク乗りの皆さん!ナップス座間内にアップガレージありますよ。これ外からは気づかなかった。
空気圧が減ったのは、アップガレージの存在を教えてくれたのかもしれない。


連載 女の風景雑記 第3話
その週の木曜、由紀子はまたバイクで喫茶店へ向かった。理由は簡単だった。冷蔵庫の中身を思えばスーパーに寄るべきなのに、体は別の方向へとハンドルを切った。
扉を押すと、前回の男がすでに窓際に座っていた。白いカップを両手で包み、何かを読み込んでいる。偶然と言えば偶然だが、心のどこかで予期していた自分に気づく。
「おや」
男は顔を上げ、軽く笑った。
「また、お目にかかりましたね」
「ええ……」
それだけで会話は終わってもよかったのに、彼は立ち上がり、由紀子の前の席を指した。
「よろしければ、ご一緒しても?」
断る言葉は喉元まで来たが、笑みとともに消えていった。席に着くと、男は名刺を差し出した。印刷会社に勤めるとある。名前は「佐川」。思っていたよりも平凡な肩書きに、少し安心した。
「奥さまは?」
「ええ、まあ……」と由紀子は曖昧に答えた。結婚していることを否定する気はなかったが、詳細を語る気にもなれなかった。
話題は、天気や最近の街の変化にとどまった。だが、不思議なことに心地よかった。夫と話すときには出ない種類の会話。ゆるやかで、余白がある。
マスターが運んできたコーヒーの香りの中で、由紀子はふと、自分が笑っていることに気づいた。口元を指で押さえ、慌てて視線を伏せる。
「この店、居心地がいいでしょう」佐川が言った。
「はい……」
「僕は長く通っているんです。日常から少し距離を置ける場所として」
その言葉が胸に刺さった。由紀子もまた、同じ理由でここに来ているのだから。
時計を見ると、もう一時間も過ぎていた。子どもの迎えを思い出し、慌てて立ち上がった。
「今日は、ありがとうございました」
「また、きっと」
バイクに跨りながら、由紀子は自分の心臓の速さに戸惑った。危険でもないのに、スピードを上げたときのように胸が波打っている。
家路につく途中、風が頬を打つ。その冷たさが、少しだけ罪悪感に似ていた。
つづく
田中屋のシティスナップ
