事務所より店舗方が賃料が高い
ビル経営の考え方の中で「事務所で貸すより、店舗で貸した方が賃料を高くとれる」というものがあります。
事務所は事務をする場所であり、収益を生まないという考え方から、店舗で使いづらい場所が事務所として、使われていると考えてもいいぐらいですね。
時代の変化、立地の価値の変化から、これからは店舗で貸そう!という発想は自然なことなのですが、注意点があります。
あらたに設置義務が発生する設備の存在です。
私が経験した中で、主にふたつあります。
排煙設備と避難器具が必要
排煙設備
例えば、B1階を店舗で貸す場合。
事務所では設置の必要がなかった排煙設備というものが必要になります。
これは窓がない場合に起きるものなので、1階以上ではこれにひっかかったことはあまりありませんが、B1階に新たに機械式排煙設備を設置するのはちょいと予算がかかることなのです。
もし、これを管理会社またはビル所有者がこれを知らず、「店舗でもいいよー!」と募集し、契約してから借り主が飲食店内装を作っている途中なんかで、排煙設備がないことを指摘されてしまったときにはこれは面倒なことになってしまいます。※保健所へ飲食店営業許可申請をして、保健所が現場確認したときに建築基準に関する不備があると、保健所が建築基準化へチクることがある場合があります。許可申請をした数日後に、建築課から防火扉について指摘が来たことがあります。
借主「排煙設備はビル側設備なので、早急に設置してくれ。それを設置するぶん内装工事が遅れるので、それは金で補償してくれ」などとなったりします。そうならないために、事務所を店舗として貸すための設備を知っておくことが必要です。
貸主・借り主 どちらが設置
貸主
借主・貸主 どちらが設置すべきものかは、ビル側が商品として設定することです。商品化としてはビル側設置がおすすめです。今後もずっと使えるわけですから。ただ、費用のこととの天秤です。
どちらが負担すべきものというのは法的には記されていませんので、あとからないことに気づいたなどとならないように注意ですね。
借主が設置
募集の段階で、排煙設備がなく、飲食店や物販店をする場合借主にて必要な設備の設置義務あり、と明記しておくことです。しかし、排煙設備をテナント負担というのは、費用の問題もあり、募集はだいぶ難しくなってしまいます。
それでは、やはり店舗で貸すのは難しいかぁ、と、話が止まってしまいます。
ここで、もう一度、排煙設備の設置義務を読みなおしてみます。
サービス店舗に排煙設備設置義務なし
店舗(飲食店・物販店)には排煙設備が必要になってくるのですが、サービス店舗については触れられていないことに気づきます。
サービス店舗とは、美容院・理容室・ネイル・マッサージなどです。
これにつきましては、私はこの視点をもって、中央区の建築課に確認したところ、設置義務はなしと返事をもらいました。
ですので、地下については、サービス店舗で募集することがひとつ作戦となります。サービス店舗は飲食店とちがい、油や水を多く使わないので、もともと事務所だったビルにはやさしいのです。事務所ビルは、飲食店で想定していない分、配管などが細かったりします。
つづく
文・写真/田中Mint