=夕刻日誌=日常はエッセイにするとちょっとメルヘン。卒論のネタとスナックのママの話題のツマミとは似たようなものだ。デートにも使える話題のネタを紹介。満員電車でのにやける暇つぶしにも。
誰かのデザイン
何にしたって、これは誰が買うのだろう?という商品ってある。
先日だってそうだ、ナップス(バイク用品店)に行った時、あるお客さんがヘルメットを選んでいて、僕が絶対選ばいないデザイン2個並べてどちらにするか悩んでいるのだ。SHOEIのヘルメット、5・6万する。
服もそうだし、バイクもそうだしギターもそうだし、これ誰が買うのだろうと思うことはよくある。
しかしだよ、商品化されるってことは相当なコンペやマーケティングをくぐり抜けているんですよね。メーカーなんてのは売れる気満々で発売するわけだし、すべったら赤字になったりもするので相当な緊張感の中で世の中に送り込まれているはずなのです。
どんなにいわゆる無メーカーの服だって、選ばれしデザイナーの選ばれしデザインが商品化されたわけである。素人のぼくに誰が買うんだろうなんて言われたくないいし、眼中ないし。
何だってそれの使いようなのです。どう使うか、どういかすか。ものの性能などではなく、どうその魅力を発揮するかは、うしろ、こちらの能力の問題であり、性能を試されているとも言える。
誰が買うのだろうという考えは、私は発想がない人間ですと言っているようなものです。
この世に存在するものすべてがそういうことになります。
そして、意味があって、ものすごい情熱の中から生まれて、もしそれが、世の中にヒットしなくたって、生みの親の愛は変わらない。そんなことを思うとこの世のすべてのものが美しく愛しく思えるのです。
そうすると、僕はその「誰が買うのだろうという商品」が可愛く見えてきて、その売れ残った商品を買ってしまうのです。
また、その景色を見た人は、「自分では絶対買わない商品を買っている人がいた」という感想を持つのです。
そんなふうにこの話は繰り返されるのです。
作者紹介
田中宏明 1980年生まれ 東京都昭島市出身の週末の写真家・放送作家。
2003年 日本大学文理学部応用数学科 ぎりぎり卒業。下北沢・吉祥寺での売れないバンドマン生活を経て、会社員(番組制作→不動産業)となる。
◆写真家:シティスナップとかるーい読物「井の頭Pastoral」撮影・編集
◆放送作家:ラジオドラマ「湘南サラリーマン女子」原作・脚本 オールデイズ直江津Radioで放送