田中屋の夕刻日誌「卒論!粋じゃないこと言わないで」文/田中宏明

夕刻日誌
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くつを買うとき

靴を買うことがある。そりゃ靴を買うことはある。
靴っもんは、探していると見つからないもので、偶然見つけたくつがサイズあってると嬉しいものだ。

そんなピッタリの靴が見つかったときにはテンション上がって、そのままはきたくなったりする。
今吐いているものを、袋に入れてもらって、買った靴をその場ではきはじめるのだ。
そりゃおでかけがご機嫌になるってもんだ。

そのパターンで言うと

クリーニングなんてのは

預けて、引き取りにいって、また別の日にきるでしょ。

これがさ、例えば、背広のズボンをクリーニングに出そうと、朝はクリーニング屋がやってなくて、夜もやってなければ、昼間に出すしかなくて、預けに行ったとしてさ。

それを引き取りにいくときまた、今履いているズボンを出したかったりするときありますよね。

いつのまにか時間がたっていて、履こうと思ったとき、クリーニングされてないことってあるのよ。これあるある。

なので、引き取ったときにそれを履いて、履いていたやつをクリーニングに出したいのよ。
しかし、お店はそれを推してはいないんですよね。着替える場所ないわけですからね。

「着ていかれますか?」ぐらい言って、
今着ているものをクリーニングさせる営業があってもいいものなのです。


それには、場所が必要ですけど。
ズボンを履き替える場所。

例えば銀座のクリーニング屋だったら、銀座に住んでいる人より、銀座に勤めている人が出しに来ることが多いと想定されているんじゃないかと思います。

それができたら、売り上げ上がるんじゃないかなぁ。

引き取りに来る度になにかクリーニングに出していくループで。それが効率的とも思うし。

それはスナックでいうツケ

また、これの関連で言えば、スナックやクラブなんかで「ツケ」という文化がある。

これは、お店が認めたお客さんにたいしては、是非ツケにしてもらいたいというものなのである。
そのからくりとは
ツケにしておいて、そのツケを返しに来たとき飲んでいってもらって、その代金はツケとなって、
ツケがあるからそれを返すためにお店にいくというきっかけを作っているんですよね。

これはちょっとうまさがあって、普通にお店にいったら、女に会いに行ったみたいだけど、ツケを払いに行ったという方がいきやすいという人は一定数いる気がします。

「ツケでいいよ」とママが言って
「いや、払っていくよ」というと

ママは
「粋じゃないこと言わないで」

みたいなことをいう文化があったらしい。

面白いですね。まやかしですよ、男と女。

それでいい気がします。

クリーニング屋のママが言うと

クリーニング屋のママがそれ脱いでいきなさいよ」といって、これは今度持ってくるよ、なんて言ったら、確かになんか粋でないような気もします。

文/田中宏明(写真家)

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