写真のない写真集のようだ
本は売れなければしょうがない。
同じ内容であれば売れた方がいいに決まってる。
売れるためにはどうすればいのか、内容を魅力的にする。営業法方を考える、などがあります。
レコードやCDなんかで、「ジャケ買い」なんて言葉があります。
知らないアーティストではあるが、ジャケットがかっこいいから買ってみた、または、なんか気になるから買ってみた、というものです。
これは、最悪中身がよくなくてもジャケットを飾るという用途に対して、代金を払っている感覚があるので、中身の音楽が好みのものでなくても、損失感はあんまりないのです。
さらに、
ところが本となるとそうもいかない。もちろん本を飾るという手もある。
本を買ったときは、内容がほとんどで、すべれば損失感たっぷりである。
本といっても、読み物と写真集があったとして。
僕はもう何年も写真をやっていて、写真集を買って参考にしたり、勉強したりしていた。
そのなかで、何回も打ちのめされたことがある。
それは、写真週は、表紙の写真が一番よくて、中身はすべてそれいか、流してのせているだけ、その表紙の写真1枚のためだけにある、ながくだらだらしたAメロである。
作り手からしたら、売れないといけないので、その視点でセレクトすることになる。中身にはこれを越えるフィナーレが待っているよと匂わせながら。しかし、表紙が一番なのです。表紙はインターネットでもなんでもみれるのです。
そう、この本「本屋です まいど」はまさにこの写真集の現象が生きているのです。
この本を買って、一番よかったのは、タイトルなのです。
まさに写真のない写真集なのです。
文/田中宏明