田中屋の夕刻日誌「太陽にほえろ!と鬼平犯科帳」作/田中宏明

夕刻日誌
DSC_0883
夕刻日誌

=夕刻日誌=日常はエッセイにするとちょっとメルヘン。卒論のネタとスナックのママの話題のツマミとは似たようなものだ。デートにも使える話題のネタを紹介。満員電車でのにやける暇つぶしにも。 

中学の頃

字がうまい先生がいた。そういえば、字のうまくない先生がいた記憶はない。字がうまくない僕はそのころから教員にはなれないような気がし始めていたような気がする。

卒業式

中学の卒業式といえば、卒業アルバムに友達や先生からサインをもらうという文化があった。
僕らの世代では教員というのは敵対する対象ではなく、人気の先生のところでは、サインをもらうための行列ができるのである。

僕も気になる先生にはサインをもらいに行った。サインというか言葉というか。

池田先生という国語の先生がいて、国語の先生のベタというか、これまた字がうまかった。
その先生の行列に並び、ようやく自分の番になると、ここでは先生が何か言葉を書いてくれるのではなく、書いてほしい字をめちゃくちゃうまく書いてくれるというパフォーマンスであった。

僕は事前に考えていなかったので焦った。後ろはつかえている。

書いてもらった言葉

そこでとっさに思いついたのが「鬼平犯科帳」である。

これについての知識は全くないけど、一度も観たことないけど。ものすごく迫力のある字で書いていただいた。

しかし、不思議なぐらいそれによる鬼平犯科帳への興味の発生は起きなかった。

今だったら絶対「太陽にほえろ!」である。これからの人生いろいろな意味で太陽にほえろ!という場面は出てくるのである。ドラマとしても、その言葉の意味自体で考えても太陽にほえろ!なのである。

あのときなぜそれを思い出さなかったのか。いまでも不思議なのだが、当時太陽にほえろ!の興味というものが鬼平犯科帳に負けていたということにはなる。証拠として。

なぜこの言葉になってしまったのか

他の友達は「弱肉強食」だとか「焼肉定食」だとか「弱肉定食」だとか、4文字熟語などが多かった。それはもしかしたら、漢字の方がカッコよく決まるなんて想像があったかもしれない。

極端に言えば、「夜露死苦」「仏恥義理」「魔苦怒奈流怒」ぐらいの方がよかったのですが、リアルヤンキーとかぶってしまうため、鬼平になったのではないか思ってる。

ちなみに、高校時代に考えたオリジナル当て字は「誤鬼嫌駄是」(ごきげんだぜ)である。※嫌が本家とダブルブッキング

作者紹介

田中宏明 1980年生まれ 東京都昭島市出身の週末の写真家・放送作家。  

2003年 日本大学文理学部応用数学科 ぎりぎり卒業。下北沢・吉祥寺での売れないバンドマン生活を経て、会社員(番組制作→不動産業)となる。  
◆写真家:シティスナップとかるーい読物「井の頭Pastoral」撮影・編集  
◆放送作家:ラジオドラマ「湘南サラリーマン女子」原作・脚本 オールデイズ直江津Radioで放送中! 

出演ラジオ

井の頭Pastoral

「田中屋のシティスナップ」町と女と時代のスリーショット
町と時代と女のスリーショット!
タイトルとURLをコピーしました