第5話(最終話)
◯渋谷円山町のラブホ街(夕暮れ)
真司・K子 世間話をしながら歩く
K子「このあたりに喫茶店なんてあるの?」
真司「減ったなぁ」
k子「全然出てこないけど」
真司「時代が変わったか」
世の中変わった。いや、それだけではなく自分たちもかわったのだ。真司もk子も状況が。喫茶店がなくなるということは、向き合って話をしなくなったともとれるなんて言っている人もいた。
確かに今はふたりは向き合っているのでなく、同じ方向を向いているのだ。
真司「休憩って 4500円かぁ。高いと思う?安いと思う?」
K子「まぁ、安いよね。ランチでもなけりゃこの辺でご飯食べて、コーヒーでもつけたら2000円はいくよね。缶コーヒーでも買って、ホテルで休憩したら、4500円+140✕2 それだけですむ」
真司「理系みたいな脳だな」
K子「そんなんじゃないわよ、結婚したらお金にちょっとシビアになっただけ。最大パフォーマンスをとりたいだけよ」
真司「喫茶店なくなったな」
K子「もともとなかったんでしょ」
「じゃぁここでいい?」
ラブホへ入っていく。
=愛と情熱の中略=
真司はK子の抱き心地に酔いしれた。
あの頃ちょっと気になっていたのだ。
真司はK子の胸に出した。
真司「そういうの気にしないんだね」
K子「そうよ、だってハリウッド映画なんてみてみなよ、出先でぜったいしちゃうんだから」
真司は、連ドラだの昼ドラだの言っていた自分がおかしくなってわらった。
真司「スケールが違うな」
飲みかけの缶コーヒーを飲んでホテルを出た。
K子は飲みかけを残していった。
真司「そういえば、ペットボトルじゃなくて、やっぱ缶だよね」
K子「そう、缶」
持ち帰らない、持ち帰れない味。
真司「そう言えば、有楽町の喫茶店でハンバーグ残したでしょ。あれ残すなら食べたかったんだ」
K子「食べればよかったじゃない」
真司「食べたら同棲してるカップルみたいじゃん」
K子は笑った。
おしまい
著者:奈良あひる
1990年生まれ 渋谷のサラリーマン