田中屋の夕刻日誌「ニュアンスとは面白いものだ」

夕刻日誌
夕刻日誌

「リスペクトしかない」
「リスペクトして止まない」

これって言われて嬉しいですか?
僕は言われたことがないのですが、言われても嬉しくない気がしています。

なぜなら、ニュアンスが好きではないからです。

ニュアンスってなんだよ。あいまいな言葉だな、これ自体。この言葉の日本語はないのか?

僕がはじめて、このことばを聞いたのは、ライブだった。バンドの。
※ライブといえば、音楽を思い浮かべたものでしたが、お笑いもライブだし、生放送をライブとも言いますね。ここでは、音楽です。

3組ぐらいのバンドが出て、それの1番手のバンドのボーカルが言っていた。

トリのバンドに対して。
トリがその日のライブを企画していて、参加バンドがトリのバンドに謝意を発することはよくあることなのですが、その中で出てくる言葉は嘘臭くて気持ちわるく感じるものなんですよね。

そこで聞いたので気持ち悪かったのです。

その理由のひとつが、明らかに1番手のバンドがトリのバンドより優れていたこと。

もうひとつは、安っぽい英語表現。

尊敬という言葉の方がいいし、リスペクトして止まないというその「止まない」という言葉が気持ち悪い。

リスペクトが止まらないなんて嘘じゃん!スゲー適当発言だな。
僕は悪意に感じましたよ。

そのバンドのボーカルは今もリスペクトがとまらないのか。絶対止まってるでしょ。

そして、「リスペクトしかない」
これは、「しかない」つまりそれしかないわけだから、他に特筆するものはないということですよね。全然うれしくなくないですか?

尊敬しかない人になんの味を感じているのでしょうか。
これもかなり適当な、どうでもいい発言だと思われます。

では、「リスペクトしかない」「リスペクトして止まない」にもあたらないよりはいいのではないか、という点についてはどうでしょうか。

思い出してください。

自分も、声には出さないが、その二つのことばを人に対して思ったことがあるのです。皆さんはいかがですか?

そのことばを思い浮かべた人に、自分は憧れを抱いていたことがあったでしょうか。ないですね。
その二つの言葉は、理屈的に優れている人に当てられていることがわかります。なのでその言葉は悪い意味ではないのですが、それだけなのですね。

みなさんその点でリスペクトという物差しの本当の長さを楽しんでみてください。

エッセイ 田中宏明

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